2006 Fiscal Year Annual Research Report
極限環境下の分子性導体における集団的な電荷ダイナミクスの理論
Project/Area Number |
15073224
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
米満 賢治 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 助教授 (60270823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 靖文 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 助手 (50390646)
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Keywords | 分子性導体 / 電荷秩序 / 光誘起相転移 / 電荷秩序融解転移 / 絶縁体金属転移 / コヒーレントフォノン / 電子格子相互作用 / スピン・パイエルス転移 |
Research Abstract |
2次元1/4フィリング系のα型及びθ型のBEDT-TTF塩は低温で水平ストライプ型の電荷秩序をもつことが知られ、長距離クーロン斥力が主な起源とされている。しかしクーロン斥力だけでは異なる型の電荷秩序をもつこと、実際には電荷秩序転移に結晶構造の変化が伴うことなどから、電子格子相互作用の重要性を指摘してきた。しかしα型とθ型では格子との結合が同程度でも格子変位は大きく異なり、後者のほうが大きい。異方的三角格子上の拡張ババード模型にトランスファー変調型の相互作用を取り入れ、厳密対角化による少数系の数値計算、強結合極限からの摂動計算、無限系の有限温度を含めた平均場計算でこれを説明した。α型の結晶構造は高温でも対称性が低いために既に電荷不均化があるので、低温の電荷秩序に対する格子変位の寄与は小さい。 1次元1/2フィリング系の有機錯体K-TCNQは室温でスピン・パイエルス相にあって、非磁性で二量化している。ダイマー内とダイマー間の電荷移動励起について、二量化ハバード模型を使って厳密対角化による数値計算と二量化の強い極限からの摂動計算を行った。ダイマー間励起で電子と正孔が離れるときにスピン交替が著しく減少して、断熱ポテンシャルは二量化を解くほうに下がり、光誘起融解を引き起こす。光照射でダイマー間電荷移動励起をした直後の光学伝導度に、荷電ダイマー内の励起によるギャップ内準位が存在する。これは格子緩和を必要としないので光照射後瞬時に現れ、実験結果と矛盾しない。
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Research Products
(6 results)