2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15074207
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水谷 宇一郎 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00072679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽田 一雄 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70154705)
竹内 恒博 名古屋大学, エコトピア科学研究機構, 講師 (00293655)
佐藤 洋一 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20024094)
長谷川 正 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20218457)
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Keywords | バルクアモルファス / 光電子分光 / 電子状態密度 / エントロピー / 結晶構造解析 / バンド計算 / クラスター計算 / 熱分析 |
Research Abstract |
バルク金属ガラスの相安定を自由エネルギーの観点から議論する場合,局所構造に関連した内部エネルギーの利得と,不規則性から得られるエントロピーの効果を考慮する必要がある.一方,バルクアモルファスの生成組成近傍で得られる結晶相(関連結晶相)は,主に,内部エネルギーの利得によりの安定化していると考えられるので,金属ガラスは関連結晶相の局所構造がランダムに配列している構造を有していることが容易に予想される.実際に,多くの研究において関連結晶相の局所構造がアモルファス相中に存在することが議論されている. 本研究では,上記の考察が正しいことを証明する為に,Zr60Ni25Al15バルク金属ガラスの関連結晶相の局所構造を配位クラスターにより分類し,その内部エネルギーをクラスター計算により評価することで,バルク金属ガラスの自由エネルギーを評価した.配位クラスターの分類の結果,構造内に存在する配位クラスターはおおまかに4種類(bccクラスター,正20面体クラスター,3角柱クラスター,接頭4面体クラスター)に分類できることが判明した.bccクラスターと3角柱クラスターは,中心に遷移金属を有しており,遷移金属のd軌道に関連したクラスター軌道が内部エネルギーの低下に寄与していると判断した.また,接頭4面体クラスターと正20面体クラスターは高い密度を有することから,これらの局所構造を有する場合には,金属結合が内部エネルギーに寄与すると判断した.それぞれの配位クラスターの組成を評価し,状態図上にプロットしたところ,バルク金属ガラスが最も安定化する組成を,5つの配位クラスターの組成が取り囲んでいることを見出した.しかも,最も安定なバルク金属ガラスの組成は配位クラスターの組成から作られる多角形のほぼ重心位置にあり,自由エネルギーへのエントロピーの寄与が最も大きい組成であることを確認した.この結果により,バルク金属ガラスの構造が,内部エネルギーの小さい関連結晶相の局所構造がエントロピーを最大にするようにランダムに配列した構造として説明できることを確認した.局所構造を用いた自由エネルギーの評価方法を用いれば,他の合金系においてアモルファス相が最も安定化しやすい組成を予測できると判断する.
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Research Products
(6 results)