2004 Fiscal Year Annual Research Report
中性子散乱による融体・金属ガラスの構造ゆらぎとダイナミックス
Project/Area Number |
15074208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福永 俊晴 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60142072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 恵司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80324713)
大友 季哉 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (90270397)
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Keywords | 金属ガラス / 中性子散乱 / X線回折 / 原子構造 / リバースモンテカルロ法 / 構造モデル / 水素吸蔵 / 組成ゆらぎ |
Research Abstract |
水素を吸蔵したTbFe_2金属ガラスとTbNi_2金属ガラスの構造モデルを中性子回折実験ならびにX線回折実験によって得られた構造因子S(Q)を基にして、リバースモンテカルロ(RMC)法によってモデル構造を構築した。TbFe_2金属ガラスの構造は水素を吸蔵することによって組成揺らぎが生じていることが明らかとなった。ところが、TbNi_2金属ガラスの構造はその揺らぎが存在していないことが分かった。これは水素原子が安定して存在する4面体の構成原子が異なることから生じていることが、多面体解析を行うなど構造学的観点から明らかになった。 さらに、ガラス化温度を持たないNi_<33.3>Zr_<66.7>金属ガラスとガラス化温度を示すCu_<33.3>Zr_<66.7>金属ガラスの構造因子S(Q)を中性子回折実験から求めた。ガラス化温度が観測されるかどうかは金属ガラスの熱的安定性と重要な関係かあると考えられるため、その構造解明は重要である。今回、中性子回折によるS(Q)を基にしてリバースモンテカルロ(RMC)法によりモデルを構築した結果、世界で初めてNi_<33.3>Zr_<66.7>金属ガラスの特徴あるプレピークを再現することに成功した。Ni_<33.3>Zr_<66.7>金属ガラスのNi-Ni相関の部分S(Q)にはQ=18nm^<-1>に明瞭なプレピークが観測される。Ni_<33.3>Zr_<66.7>金属ガラスとCu_<33.3>Zr_<66.7>金属ガラスの2体分布関数g(r)におけるNi-Ni(Cu-Cu),Ni-Zr(Cu-Zr)そしてZr-Zr相関の実空間上の分布の比較ではNi-Zr相関の分布が顕著にシャープであることが明らかとなった。これはNi_<33.3>Zr_<66.7>金属ガラスとCu_<33.3>Zr_<66.7>金属ガラスの短範囲構造の形態が大きく異なっていることを示唆している。
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Research Products
(4 results)