2003 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学計算および第一原理計算による金属ガラスの局所不安定性解析
Project/Area Number |
15074209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 教授 (20169882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅野 宜崇 京都大学, 工学研究科, 講師 (40314231)
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Keywords | 金属ガラス / 不安定性 / 分子動力学 / 局所破壊 / クライテリオン / 原子構造解析 / 原子間ポテンシャル / 第一原理解析 |
Research Abstract |
一般に、材料の非弾性変形は部分的な原子配置の組み換えによって進行する。結晶材料では、規則正しい原子配列を乱す転位の発生・増殖・運動が、その非弾性変形を支配している。ところが、ランダムな原子配列を有する金属ガラスの変形過程における原子配列の組み換えについては、その機構が明らかになっていない。本年は、ランダムな原子配列を有する鉄単元系アモルファスの引張・除荷過程の原子シミュレーションを行い、構造体全体の変形に伴う局所の原子配列変化を詳細に観察した。その結果、低応力では安定的変形であるが結晶金属とは異なり不均一な原子変位を生じていることが明らかになった。ただし、この領域は弾性変形である。一方、引張応力を増加させると局部的な原子配列の組換えが発生する。また、この際には負荷抵抗が急減して不安定変形となっていることが判明した。原子の組換えが生じている領域は数原子半径程度の球形領域であり、転位のような線状の組替えとは様相を異にしている。ただし、その領域内ではすべり様のせん断変位が認められた。この領域は非弾性変形であり、不安定解析によるクライテリオンの適用が可能である。除荷を継続すると再組換えが生じて元の原子配置に戻る場合があることが判明したが、この原因については今後の課題である。 本年用いた基本的な解析ツールや考え方は、多元系(金属ガラス)に適用可能である。そこで、現在は多元系の原子シミュレーションに対する準備を行っている。
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Research Products
(1 results)