2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15074213
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 博太郎 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 教授 (10024366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 信行 次世代金属複合材料研究開発協会, 東北大学研究室, グループリーダー
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Keywords | サイズ効果 / 熱膨張率 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
ガラス転移温度Tgは、その温度以下では原子がmobilityを急速に失い観察時間内では充分な構造変化が検出されない温度と考えることができる。このガラス転移温度Tgは、その物質の凝集エネルギーと密接な関係にあるとされている。一方、系のサイズをナノスケールにまで小さくした場合凝集エネルギーが低下するであろうことは知られているが、この点を実験的に検証した例は少ない。そこでガラス転移温度Tgを左右する因子に関する情報を得る目的で、熱膨張率の計測を通して凝集エネルギーのサイズ依存性を検討した。系としては純Pbを選定した。格子定数の変化から熱膨張率の粒子サイズ依存性を求めるためには、同じ条件下で作製されたサイズの異なる粒子を用いることが必要不可欠である。アモルファスカーボン膜上についたて状の壁を設置し、ホルダーを傾けるとこの壁によって原子の蒸着が遮られるエリアをつくることを発案し実施した。これによって、同一膜上にサイズが異なるPb粒子を同時作製することが可能になった。これらの粒子を用いて、加熱もしくは冷却ホルダーを用いて基板温度を-180℃から300℃まで変えながら対応する回折パターンをイメージングプレート(IPs)に記録した。これらのIPsのデジタル画像の定量解析からPbの熱膨張率の粒子サイズ依存性を求めた。その結果Pbでは粒子が小さくなるに従い、熱膨張率が大きくなることがわかった。この事実は、系のサイズ減少にともない、凝集エネルギーは低下すること、従ってガラス転移温度も低下することを示している。
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Research Products
(2 results)