2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスの変形・破壊のその場観察と原子レベルでのメカニクス解明
Project/Area Number |
15074217
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
東 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (50173133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 耕司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (70181972)
瀧川 順庸 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (70382231)
津田 大 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (80217322)
上杉 徳照 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (10405342)
東田 賢二 九州大学, 工学研究科, 助教授 (70156561)
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Keywords | 金属ガラス / 変形メカニクス / 過冷却液体 / 超塑性 / 準結晶 / 第一原理計算 / 破壊靱性 / 弾性特異点 |
Research Abstract |
本研究グループの目的は,室温から過冷却液体温度域に至る金属ガラスの変形と破壊プロセスのその場観察によるメカニクスの解明であり,A04班全体の最終的目標は,局所電子・原子の結合論をベースにした金属ガラスの統一的な変形・破壊メカニクスの学理構築である.今年度は,過冷却液体温度域での変形挙動についての解析を継続して行うとともに,第一原理計算によるカラス形成能予測,破壊靱性に関する検討を行った.また,フリーボリュームが変形特性に及ぼす影響の検討,摩擦撹拌プロセスによる特性改善に関する研究にも着手した.主な成果を以下に示す. 1.金属ガラス形成能に関する経験的三原則の理論的根拠の解明をを念頭に,従来から用いられてきたMiedema法による溶解熱と原子半径差に替わる,第一原理計算から算出した溶解熱及び寸法因子のデータベースを作成した.溶解熱については,Miedema法では第一原理計算の結果よりも負に見積もる傾向が見られた.原子半径差については,溶質原子がd電子遷移金属の固溶体では原子半径差に比べて線形寸法因子が小さくなっており,遷移金属は純物質の状態よりもアルミニウム中の方が原子のサイズ小さくなる傾向にあることが分かった. 2.金属ガラスの高い破壊靭性を理解するため,亀裂先端近傍の塑性変形に伴う応力遮蔽効果の考え方について検討した.そして,金属ガラスでも弾性的特異点とそれに伴う内部応力場とが存在する可能性を示唆した.剪断帯によって結晶表面に形成された段差についてもTEM/AFMにより評価し,それらが数百ナノメータのオーダーのものであることが明らかとなった.また剪断帯による段差大きさの位置的変化から,塑性変形勾配の存在とそれに伴う歪み場/応力場の存在の重要性を指摘した. 3.金属ガラスの摩擦撹拌プロセスを行った.撹拌部では微細なナノ結晶粒の分散による大幅な硬さの向上がみられた.
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Research Products
(2 results)