2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスの過冷却状態からの結晶化のその場電子顕微鏡観察
Project/Area Number |
15074218
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
今野 豊彦 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90260447)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千星 聡 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (00364026)
堀 史説 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (20275291)
|
Keywords | アモルファス金属 / 透過型電子顕微鏡 / 陽電子消滅 / 結晶化挙動 / 構造緩和 / 熱分析 / 自由体積 / 準安定相 |
Research Abstract |
本年度はFe基およびZr基の金属ガラスに関して、その結晶化過程を透過電子顕微鏡(TEM)と解明するとともに緩和過程を陽電子消滅法で詳細に調べた。まず、Fe基に関してはまずFe-Nb-B系の金属ガラスの形成能に及ぼすSiの効果を調べるため、熱分析、X線回折(XRD)、透過電子顕微鏡等を用いて実験を行った。Siの添加により結晶化が三段階にわかれることが判明した。これらの変態に要する見掛け上の活性化エネルギーをキッシンジャープロットにより見積もったところ、第一、第二、第三ピークがそれぞれ約250,740,500kJ/molという値を得た。ここで第一ピークの活性化エネルギーが小さい理由は過冷却状態からの変態では粘性流動の存在により、第二、第三段階の固相反応と比較して、拡散に伴う活性化エネルギーが小さいためであると推論した。また、初晶の結晶構造はFe_<23>B_6相であることがXRD,TEMから判明した。しかし一方でTEMによるその場実験中に出現した個々の結晶粒から得られた制限視野回折パターンは0.67nmの面間隔に相当する4回対称性を有する一連の回折スポットを呈し、必ずしも既存のFe_<23>B_6相によって初晶が説明されるわけではないことを見出した。これはブラベー格子がfccであるFe_<23>B_6相において、結晶化初期の段階では規則化が進んでおらず本来禁制である反射が出たのか、あるいは異なった結晶相であるのか、今後の検討が必要とされる。 また、Fe基のもう一つの系としてFe-Nd-B系の結晶化初期段階に現れる長周期構造に関して高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)法を用いて詳細な検討を行った。この系では当該研究者らの研究でDO_3構造を基本とする長周期構造が出現することが電子線回折からわかっていたが、具体的な逆位相境界(APB)の構造に関しては不明であった。今回、高角度傾斜の制限視野法を用いることにより、従来言われていた一次元長周期構造が実は1/4a<111>APBと1/2a<100>APBを有する二次元長周期構造に起因していることを示し、次にHRTEM法により、これらのAPBの存在を実空間で明らかにした。さらに高速フーリエ変換による位相抽出を試み、これらのAPBが結晶化の際に出現するスフェルライトの外側に多く存在することをつきとめ、この系ではamorphous→A_2→長周期構造を有するDO_3→DO_3という反応順列に従って結晶化が起こることを明らかにした。
|
Research Products
(4 results)