2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスの過冷却状態からの結晶化のその場電子顕微鏡観察
Project/Area Number |
15074218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今野 豊彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90260447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千星 聡 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (00364026)
堀 史説 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (20275291)
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Keywords | 金属ガラス / 構造緩和 / 結晶化挙動 / 透過電子顕微鏡 / 陽電子消滅 / 自由体積 / アモルファス / その場観察 |
Research Abstract |
本年度は陽電子消滅法を用いた構造緩和過程を詳細に検討することを最重点課題に置き、次のことを明らかにした。すなわち、Zr_<50>Cu_<40>Al_<10>はガラス転移温度が706K、結晶化温度が792Kであり、673Kにおける等温保持により密度が0.4%ほど上昇することがすでに横山らにより見出されているが、同様の試料の陽電子消滅によるlife timeは約12%減少し、密度変化が自由体積の減少によるものであることを直接的に明らかにした。また陽電子が消滅するサイト(自由体積近傍)の化学的環境を詳細に調べるためCDBスペクトルを測定した。構造緩和過程ではスペクトルに有意な変化は見られず、陽電子が消滅するサイト付近の化学的環境は自由体積の変化が起こっておらず、単純な体積の減少であることがわかった。現実には自由体積にもその大きさに分布があるはずであり、陽電子の消滅スペクトルをラプラス変換することによりライフタイムの分布そのものを観察することを試行的に行い、一定の分布があることを確認した。これらの実験と並行して構造緩和過程における活性化エネルギーの算出を試みた。現時点で1eV以下であることがほぼ明らかになった。この値が自由体積を構成する原子群の移動とどのように対応しているのかを実験・理論両面から今後明らかにしていく必要がある。 一方、Fe-B-Nb-Si系アモルファスを急冷法で作成し、透過電子顕微鏡を用いたその場加熱実験を行った。その結果、1010K付近で数10nm程度の結晶相が出現することを見出し、これが四回対称性を有し、面間隔0.67nmの立方晶もしくは正方晶に属する未知の結晶相であることを明らかにした。しかし、詳細な構造解析は終了しておらず、次年度に継続して研究を行う。
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Research Products
(3 results)