2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスの過冷却状態からの結晶化のその場電子顕微鏡観察
Project/Area Number |
15074218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今野 豊彦 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (90260447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 史説 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (20275291)
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Keywords | 金属ガラス / 結晶化挙動 / その場電子顕微鏡観察 / 陽電子消滅 / アモルファス / 構造緩和 |
Research Abstract |
金属ガラスの昇温過程において生じる均一・不均一な変化を高分解能分析電子顕微鏡のその場観察と陽電子消滅による自由体積の変化を観察することで明らかにし、平衡相へ至るまでの変態のシークエンスを熱力学的・速度論的に明らかにすることが本研究の目的である。 試料は傾角鋳造法で作成されたZr_<50>Cu_<40>Al_<10>金属ガラスを用いた。昇温速度40K/secで観測されたTgは約700Kである。この試料を473および673Kで等温保持したときの密度変化ならびに陽電子寿命変化はよい相関を示し、陽電子が自由体積近傍で消滅すること、また構造緩和に伴う自由体積の減少がその寿命に直接影響していることがわかった。またこの温度範囲では焼鈍温度が200Kも異なるにもかかわらずほぼ100sec後に自由体積の減少が起っている。これは内部摩擦法により測定されたこの温度領域における物質移動の活性化エネルギーが0.15eVと非常に低いことに対応している。 一方、結晶化過程に関してはこのようにZr_<50>Cu_<40>Al_<10>金属ガラスの結晶化はスフェルライトと一般に呼ばれる球状の結晶相がCuを掃き出しながら成長することにより起こった。スフェルライトを構成する結晶相は斜方晶系(考えられる空間群:Pc2m,Pcm2_1,Pcmm)であるが、結晶化温度によってモフォロジーが大きく異なり、これは金属ガラス中の原子の易動度を反映しているものと思われる。 さらに熱分析法によりガラス転位に要する活性化エネルギーを測定した。昇温速度を変えることによって求められた活性化エネルギーは5.22eVであり、これはガラス転移には数個の原子が同時に動くことが必要であることを示す。また恒温保持によるエンタルピー緩和量も測定した。緩和のキネティクスを示唆する拡張指数は0.5-0.6の間にあり、これは緩和過程に分布があることを示している。
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Research Products
(6 results)