2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスのナノ結晶化のメカニズムの解明とその応用
Project/Area Number |
15074221
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宝野 和博 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, フェロー (60229151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 忠勝 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主任研究員 (00242462)
大沼 正人 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主任研究員 (90354208)
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Keywords | 金属ガラス / ナノ結晶 / ナノ組織 / 相分離 / アモルファス / 電子顕微鏡 / アトムプローブ / 小角散乱 |
Research Abstract |
3次元アトムプローブ(3DAP)、高分解能電子顕微鏡法(HREM)、電子線回折(ED)、小角散乱法(SAS)を主たる解析手法として、金属ガラスの結晶化のメカニズム解明を行うと同時に結晶化を利用した金属ガラスのナノ組織制御の可能性を検討した。具体的には、 (1)ガラス形成能の優れた金属ガラスの結晶化前駆段階での相分離の検証:多くの金属ガラスで熱的安定性の一つの要因として、ガラス状態での相分離が提案されているが、熱力学的に金属ガラスでの相分離が起こり得るのかどうかについては多くの議論がある。そこで従来過冷却液体中で相分離が起こるとされている金属ガラスのガラス遷移点近傍での構造・組織変化を3DAP, HREM, ED, SAS、熱分析法(DSC)により詳細に調査し、バルク形成能の高い金属ガラスの過冷却液体状態での相分離の検証、相分離傾向とガラスの安定性の因果関係、金属ガラスのナノ結晶化のメカニズムについて包括的な実験研究を行った。その結果、従来の研究で相分離が起こるとされていたZr_<41.2>Ti_<13.8>Cu_<12.5>Ni_<10>Be_<22.5>,Zr_<52.5>Cu_<17.9>Ni_<14.6>Al_<10>Ti_5,Zr_<36>Ti_<24>Be_<40>金属ガラスはいずれも結晶化の前駆段階として相分離を起こさないことを実験的に明らかにし、さらにこれらの金属ガラスのナノ結晶化のメカニズムを解明した。同時に、酸素添加の影響、Zr_<36>Ti_<24>Be_<40>ガラスで観測される熱分析の変曲点の現れる原因を検討した。 (2)高特性材料を目指したナノコンポジット組織の制御:金属ガラスの結晶化を積極的に応用してナノ組織制御を行うことにより、金属ガラス単相では得られない力学特性(高強度、高靱性)や磁気特性(軟磁性、硬質磁性)の発現を試みた。La-Zr-Ni-Cu-Al系金属ガラスにおいて液体急冷中に液相中で相分離が進行し、2相金属ガラス組織が得られることを初めて明らかにし、その2相金属ガラス組織の力学特性、化学的特性を評価して、応用に繋がる可能性があるかを検討した。さらに他の系においてもガラス相中で相分離が進行する可能性を探索した。その結果、上記以外でもガラス相中で相分離の進行する金属ガラスが存在することを実証した。 (3)金属ガラスの結晶化による脆化メカニズムをガラス相と結晶相間の残留歪みによるものであることを実験的に検証した。
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Research Products
(24 results)