2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロプラズマのマイクロマシン、バイオマイクロシステムへの応用
Project/Area Number |
15075208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一木 隆範 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (20277362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 貴則 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (80401149)
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Keywords | マイクロプラズマ / マイクロマシン / バイオマイクロシステム / エッチング / マイクロ流体デバイス / 親水化処理 / ポリジメチルシロキサン / マスクレスエッチング |
Research Abstract |
本年度は、(1)走査型ラジカルジェット装置を用いた生体適合性ポリマーの表面処理と細胞パターニングへの応用ならびに(2)走査型マイクロプラズマジェットエッチャーのマイクロ流体デバイスのプロトタイプ作製への応用に関して研究した。 (1)に関しては昨年度のAr/O_2系に引き続きAr/N_2系を用いたPDMS表面の処理について検討した。Ar/N_2系においても窒化は起こらず、やはりAr/O_2系同様にPDMS表面の酸化による親水化が起こり、結果として良好な細胞接着表面が得られた。その理由は明確ではないが、PDMS表面の酸化をもたらした要因として2つの現象が推察される。1つは大気中の酸素や水の混入による酸化種の生成であり、もう1つはプラズマ中の窒素や酸化窒素等からの紫外光の放射によるポリマー内結合の切断である。生成されたダングリングボンド/には大気中の水や酸素が結合するため、親水化が起こると考えられる。さらに、X線光電子分光においてSi2pスペクトルの精密な波形解析を行い、PDMS表面層に存在するSiの酸化の価数を検討した結果、Ar/N_2系プラズマジェットを用いて処理したPDMS表面ではSi^<3+>がほとんど存在せず、Si^<2+>とSi^<4+>から成ることを見出された。これは急峻な酸化膜界面が形成されたことを示しており、Ar/O_2系では見られなかった興味深い現象である。 (2)ではPDMSのSF_6/Arマイクロプラズマジェットを用いたエッチング加工によるマイクロ流体デバイス作製について検討し、大気中でPDMS表面の平坦化エッチングが達成された。良好なエッチング特性が得られる理由として、SiF_xとCOの生成が高密度のフッ素とプラズマからの局所的な加熱により起こるためと推察される。これらの結果から、大気圧マイクロプラズマジェットによるエッチング技術はマイクロ流体デバイス等の作製に応用可能と期待される。
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Research Products
(3 results)