2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑島 邦博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70091444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槇 亙介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30361570)
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Keywords | 水 / 生体分子 / 蛋白質 / フォールディング / 分子シャペロン / 速度論 / 遷移状態 / 中間体 |
Research Abstract |
水と生体分子が織り成す生命現象として、蛋白質フォールディングは最も基本的なものである。この蛋白質フォールディングの分子機構解明の問題を、(1)試験管内での自発的フォールディングの分子機構解明、(2)細胞内での蛋白質フォールディングに関わる分子シャペロンの作用機構解明の二テーマに分け、物理化学の立場から原理的に理解することを目的とする。以下の成果を得た。 1.ヤギα-ラクトアルブミンの種々の変異蛋白質を作成して、それらのフォールディングとアンフォールディングの速度過程における遷移状態構造のマッピングを行った(Φ値解析)。遷移状態の構造化領域は局在化して、カルシウム結合部位を中心としたαドメイン-βドメイン境界に集中しており、ここがフォールディング開始部位であることがわかった。 2.緑色蛍光蛋白質の酸変性と巻き戻りの速度過程をCDスペクトルと蛍光スペクトルを用いて解析した。このタンパク質のフォールディングは、非特異的凝縮によるバースト相中間体と約0.5秒で形成される経路上中間体(モルテン・グロビュール)の二つの中間体を経て進行することがわかった。 3.上記緑色蛍光蛋白質などのわれわれのデータも含め、中間体を含む非二状態蛋白質のフォールディング速度に関する実験データを文献から収集して、フォールディング速度と天然立体構造パラメータとの間の相関に関する統計解析を行った。その結果、非二状態蛋白質と二状態蛋白質の双方を含めたフォールディングの統一的描像を得ることが可能であることがわかった。 4.シャペロニンGroELのATPによるアロステリック転移の速度過程を明らかとするため、停止フロー装置を用いてアロステリック転移の可逆性に関する速度論的研究を行った。ATP結合によるアロステリック転移は可逆であり、速度論的Monod-Wyman-Changeuxモデルで表されることがわかった。
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Research Products
(6 results)