2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑島 邦博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70091444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槙 亙介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30361570)
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Keywords | 水 / 生体分子 / 蛋白質 / フォールディング / 分子シャペロン / 速度論 / 遷移状態 / 中間体 |
Research Abstract |
水と生体分子が織り成す生命現象として、蛋白質フォールディングは最も基本的なものである。この蛋白質フォールディングの分子機構解明の問題を、(1)試験管内での自発的フォールディングの分子機構解明、(2)細胞内での蛋白質フォールディングに関わる分子シャペロンの作用機構解明の二テーマに分け、物理化学の立場から原理的に理解することを目的とする。本年度は以下の成果を得た。 1.蛋白質のフォールディングとアンフォールディングの速度過程に関する実験結果を計算機中に再現することを目的として、ヤギαラクトアルブミンの組換え体と真性体の高温(389K)分子動力学シミュレーションを行った。真性体に比べ組換え体はアミノ末端にMet残基を一個余分にもっている。実験から、組換え体のアンフォールディング速度は真性体よりも数十倍速く、熱力学的にもより不安定であることがわかっている。5nsの熱変性シミュレーションを10回行い、それらのトラジェクトリーを平均化することによって、実験結果を再現するシミュレーション結果が得られた。また、シミュレーション結果から真性体をより不安定化する変異を予測し、実験によってこの予測の正当性を確認することができた。(横浜市立大の池口(満)助教授のグループとの共同研究である)。 2.イヌ・ミルク・リゾチームのモルテン・グロビュール(MG)状態は他の蛋白質のMG状態よりも大変安定であり、天然状態の特徴である特異的三次構造も一部兼ね備えている。このMG状態とフォールディングの速度論的中間体との関係を明らかにするため、イヌ・ミルク・リゾチームの巻き戻り反応をストップトフロー円二色性(CD)スペクトルと蛍光スペクトルを用いて調べた。巻き戻りにはバースト相中間体とその後の速度論的中間体があり、バースト相中間体が平衡MG状態と等価であることがわかった。
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Research Products
(6 results)