2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑島 邦博 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (70091444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槙 亙介 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (30361570)
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Keywords | 水 / 生体分子 / 蛋白質 / フォールディング / 分子シャペロン / 速度論 / 遷移状態 / 中間体 |
Research Abstract |
1.昨年度までの研究で、速度論的なフォールディング中間体を蓄積する非二状態蛋白質のフォールディング速度過程に関する実験データを収集し、その統計解析から、非二状態蛋白質の中間体形成速度(速度定数の対数値ln k_I)や天然状態形成速度(ln k_N)も同様にQ_dと強く相関することを見出している。そこで、ln k_Iやln k_Nのこれらの相関関係の原因を探るため、12個の非二状態蛋白質のフォールディング速度定数の実験データをもとに以下の解析を行った。(1)そもそも、ln k_Iとln k_Nとはどのくらい相関するのかを調べた。(2)ln k_Iやln k_Nと最も良く相関する構造パラメータを蛋白質立体構造のコンタクトマップを利用して調べた。その結果、(1)ln k_Iとln k_Nは相関係数0.97という極めて高い相関を示すこと、(2)コンタクトマップから得られる非局所的コンタクトクラスター数(N_c)がln k_I及びln k_Nの双方と同様の極めて高い相関を示すことが明らかとなった。また、k(k_Iまたはk_N)とN_cとの間ではk〜N^vで表されるスケーリング則が成り立ち、スケーリング指数vはk_Iに対しては2.8、k_Nに対しては3.5であった。N_cは蛋白質天然構造中のサブ構造の全体的な配置を示すので、今回の結果は、蛋白質フォールディングの初期段階と後期段階のいずれにおいてもサブ構造間の配置が重要な過程となっていることを示唆する。 2.緑色蛍光蛋白質のF99S/M153T/V163A変異体(GFPuv)のフォールディング機構をさまざまな分光学的手法を用いて調べた。緑色蛍光、トリプトファン蛍光、X線小角散乱を用いてGFPuvの平衡条件下での酸変性反応を追跡した。天然類似中間体とアンフォールディング中間体の二つの中間体が蓄積し、pH4で蓄積する後者の中間体はモルテン・グロビュール状態の特徴を示すことが明らかとなった。また、平衡論的アンフォールディング中間体は、フォールディング反応経路上に存在するフォールディング中間体であり、GFPuvのフォールディングは階層的機構で表されることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)