2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076204
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00188674)
|
Keywords | 蛋白質拡散 / 反応ダイナミクス / 分子間相互作用 / 蛋白質折りたたみ反応 / 過渡回折格子法 |
Research Abstract |
蛋白質と周囲の水分子との相互作用、特に反応途中における相互作用のダイナミクスを時間分解で明らかにするための研究を行った。また、蛋白質の反応を化学反応として物理化学的に研究するため、新しい検出手法の開発を行い、以下のような結果を得た。 1.蛋白質の構造変化と反応の関係を理解する上で、ミオグロピンについたリガンドが解離した後、いかなるルートをたどって溶媒中へ抜け出るかという問題は、典型的なモデルとして長年に渡って興味が持たれている。光による一酸化炭素(CO)の解離反応について、Xe存在下でCO放出過程と再結合過程がどのように変化するかを時間分解で調べることにより、COの放出ルートとXeトラップサイトとの関連を検討した。その結果、COの抜け出る経路にXe1サイトが関係していることが明かになった。このXe1サイトがXeにより塞がれるとCOの抜け出す速度が速くなる現象を幾つかのモデルについて検討したところ、2つの抜け出す経路があると考えるモデルでよく説明された。このスキームを用いて、COが溶媒へ抜け出していく経路が始めて明らかにされた。 2.昨年度開発した時間分解拡散係数検出手法を用いて、チトクロムcの折りたたみに伴う分子間相互作用の時間変化を明らかにした。信号の解析のために、拡散係数が均一に時間変化しているというモデル(連続体モデル)と、蛋白質が不均一に2状態的に変化しているというモデル(2状態モデル)を考え、定式化を行い、信号のフィットを試みた。その結果、分子間相互作用の変化は2状態モデルで起こっていることを示すことができた。このモデルに基づいたフィットの結果、折り畳みが開始されてから完成するまでの時間範囲で完全に2状態的に拡散係数が変化することがわかった。こうした実験事実と、これまで還元状態のチトクロムcについて同じトリガー法で研究されていた結果より、折りたたみ経路を明らかにした。
|
Research Products
(5 results)