2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (00188674)
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Keywords | タンパク質 / 反応ダイナミクス / 拡散係数 / 時間分解 / 過渡回折格子 / 反応中間体 |
Research Abstract |
蛋白質と周囲の水分子との相互作用、特に反応途中における相互作用のダイナミクスを時間分解で明らかにするための研究を行った。また、蛋白質の反応を物理化学的に研究するため、新しい検出手法の開発を行い、本年度は以下のような成果を得た。 1.N末端部分欠損PYPについて反応中間体の拡散係数(D)測定を行い、この部分の構造変化の寄与をDの変化として捕らえることに成功した。それぞれの状態でのD値を求めることができ、この値は、N末端を欠如させることにより、pBとpGのD値の差が系統的に減少していることを示した。このことは、pB状態においてのαヘリックスの壊れを示している。この変化より、αヘリックス1残基が変性したときに、どれだけの摩擦係数変化が起こるかを計算することができた。 2.これまでに拡散係数(D)を時間分解することで、種々の構造変化ダイナミクスを検出できることを示してきたが、この手法を用いると、過渡的会合・解離過程を明確に示すことができることも見い出した。対象として、植物の青色光センサー蛋白質であるphototropin(phot1)のLOV2ドメインを用いた。phot1-LOV2ドメインサンプルの光励起後のTG信号より、基底状態と生成物の拡散を決定することができた。この拡散係数の変化の原因を調べた結果、光照射によって光励起された蛋白質と基底状態の蛋白質の間でダイマー化が起こっていることを示すことに成功した。この変化は永続的なものではなく、過渡的なダイマー化である。更に興味深いことに、蛋白質濃度を高めるとこのphot1-LOV2は基底状態においてダイマーを形成し、光励起によってこのダイマーが過渡的に解離することも分かった。これは、拡散係数を用いることで、他の手汝では検出困難な過渡的な会合体形成や解離反応を時間分解で明らかにできることを示したはじめての報告である。
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Research Products
(7 results)