2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子およびその集合体の構造形成と揺らぎに対する溶媒効果の分子論
Project/Area Number |
15076205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 伸幸 京都大学, 化学研究所, 助教授 (20281107)
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Keywords | 溶媒和自由エネルギー / 分布関数 / エネルギー表示 / 計算機シミュレーション / 溶質-溶媒相互作用 / 分子集合体 / 構造揺らぎ / 水 |
Research Abstract |
蛋白質やミセルといったナノスケールの分子やその集合体の溶液内での振る舞いを取り扱うために、溶媒和自由エネルギーの解析法を確立することが必須である。そこでは、大きな自由度をもつ構造ゆらぎの細部に立ち入ることなく、解析・算定を行う手法の開発が重要である。本研究の目的は、内部自由度をもつ溶質およびその集合体の溶媒和自由エネルギーの分子論的解析手法の確立である。本年度は、量子化学手法と結合とミセルの可溶化現象への応用を行い、以下の成果を得た。 1.これまでに提案した溶媒和自由エネルギーに対するエネルギー表示の方法を、溶質の電子状態が揺らぐQM/MM系に対して精度よく適用できるように拡張した。化学反応の理論的取り扱いでは、反応種(部位)の量子論的記述は必須である。そこで、反応種(溶質)を量子化学的に取り扱い、環境(溶媒)を古典的に取り扱うQM/MM法は、溶質の電子状態の環境に対する応答や揺らぎをexplicitに取り扱うことができる。溶媒和構造の不均一性・非一様性の大きい超臨界流体中では、電子状態の揺らぎも対応して大きく、その自由エネルギーへの寄与が常温常圧中と同程度であることを見出した。 2.前年度までに定式化した方法論を用いて、ミセルの可溶化現象の解析を行った。可溶化は、有機化合物の溶質が、バルクの水からミセルの内部へ移行する過程に相当する。ミセル系を、水と界面活性剤からなる「混合溶媒」とみなすことで、ミセル系への溶質挿入の自由エネルギー変化を取り扱った。エネルギー表示の方法の特徴は、その定式化に、系の均一性や熱力学極限を仮定する必要がない点にあり、不均一で部分的に有限な混合溶媒系に、そのまま適用することが可能である。典型的なsodium dodecylsulfate系への疎水性溶質の可溶化が精度よく記述できることを見出した。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Effect of Concentration, Acid, Temperature, and Metal on Competitive Reaction Pathways for Decarbonylation and Decarboxylation of Formic Acid in Hot Water2004
Author(s)
Wakai C., Yoshida, K., Tsujino, Y., Matubayasi, N., Nakahara, M.
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Journal Title
Chem.Lett. 33
Pages: 572-573
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