2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076206
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
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Keywords | 生物物理 / ナノ材料 / 生体分子 / 蛋白質のフォールディング / 老化 / アミロイド線維 / 蛋白質の構造安定性 / 透析アミロイドーシス |
Research Abstract |
アミロイド線維は、蛋白質と水との相互作用の異常がもたらす構造状態である。アミロイド線維の構造安定性や形成機構を研究することは、蛋白質の構造や物性、水との相互作用に対する理解を深めるために重要である。本研究では、透析アミロイドーシスに関わるβ2ミクログロブリンとアルツハイマー病に関わるAβペプチドを用いて、アミロイド線維の構造安定性やアミロイド線維形成の分子機構を研究し、以下の成果を得た。 1.昨年度に確立した「全反射蛍光顕微鏡を用いたアミロイド線維の一分子観察」を、Aβペプチドに適用した。シードに依存したアミロイド線維の伸長反応を、一線維レベルで、またリアルタイムで極めて鮮明な蛍光顕微鏡画像として観察することができた。これにより、Aβアミロイド線維が3本のプロトフィラメントから構成されること、モノマーペプチドが過剰に存在する条件下では線維形成速度は一定であり、定常状態反応に近いことなど、線維形成機構の詳細を推定することができた。 2.アミロイド線維形成反応は立体特異的な反応であることをアミノ酸のL/D光学異性体を用いて研究した。この目的には、β2ミクログロブリンのK3ペプチドを用いた。シード依存性の伸長反応では、シードとモノマーペプチドのL/D異性が一致する時にのみ伸長反応が観測された。 3.アミロイド線維形成反応の熱力学的機構を解析した。β2ミクログロブリンの酸性でのシード依存性アミロイド形成反応を等温滴定型熱量計によって測定し、アミロイド線維形成に伴う熱力学量を明らかにした。これを示差走査熱量計によって測定したβ2ミクログロブリンの熱変性に伴う熱力学量と比較した。この結果、ネイティブ構造と比較して、アミロイド線維のパッキングの程度は低いことが示唆された。「ネイティブ構造が側鎖主体の構造であるのに対して、アミロイド線維は主鎖主体の構造」という考えがあり、本結果はそれを支持する。
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Research Products
(6 results)