2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076206
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
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Keywords | 生物物理 / ナノ材料 / 生体分子 / 蛋白質のフォールディング / 老化 / アミロイド線維 / 蛋白質の構造安定性 / 透析アミロイドーシス |
Research Abstract |
アミロイド線維の構造安定性や形成機構を研究することは、蛋白質の構造や物性、水との相互作用に対する理解を深めるために重要である。本研究では、透析アミロイドーシスに関わるβ2ミクログロブリンとアルツハイマー病に関わるAβペプチドを用いて、アミロイド線維の構造安定性やアミロイド線維形成の分子機構を研究しており、本年度は以下の成果を得た。 1、超音波処理によるアミロイド線維形成:アミロイド線維形成反応は、核形成反応と伸長反応の2段階からなる。これまでアミロイド線維を破砕して伸長核を形成する目的で用いてきた「超音波処理」を、β2ミクログロブリンに行うと、アミロイド線維が生成することを見出した。 2.アミロイド構造の多様性とそれをもたらす構造基盤:ネイティブ構造の別の特徴は各アミノ酸配列に対するフォールドのユニークさであり、ユニークなフォールディングのできる配列が進化の過程で選択された。これに対して、ひとつのアミロイド原性蛋白質やペプチドの形成するアミロイド線維の構造は多様であることが示唆されている。β2ミクログロブリンや、そのペプチド断片を用いて、アミロイド線維の構造多様性を示した。 3.アミロイド線維を介した蛋白質構造の伝播と適応:アミロイド線維の構造多様性と、シード依存的な形成反応が合わさったとき、通常のネイティブ蛋白質にはない意外な特徴が生じると予想される。第一は、アミロイド線維を介した蛋白質の構造伝播である。構造伝播現象を、β2ミクログロブリンのペプチド断片を用いて示した。また、アミロイド線維の伸長を繰り返したとき、異なった線維構造が伝播すると同時に、そのひとつの線維構造が変化する現象を見出した(アミロイド線維の適応)。適応現象は、異なった線維の伸長速度が異なることによって容易に説明することができた。
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Research Products
(18 results)