2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のフォールディング理論、立体構造予測、及び分子設計
Project/Area Number |
15076207
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 彰二 神戸大学, 理学部, 助教授 (60304086)
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Keywords | 化学物理 / 生物物理 / 蛋白質 / 生体分子 / 分子機械 |
Research Abstract |
水の中で蛋白質が自発的に立体構造を形成するフォールディング過程を、幾つかの観点から研究した。 1.60残基程度の小型蛋白質ドメインフォールディングの物理化学的シミュレーション(コアプロジェクト)へむけて進む途中段階として、物理化学的なモデルに弱い天然構造へのバイアス(いわゆる郷ポテンシャル)を加えて、protein GおよびSH3のフォールディングを研究した(論文1)。protein Gの場合、その天然構造は擬対称性をもっているが、フォールディング経路はその対称性を破っている。本研究によって、この対称性の破れは疎水性相互作用の偏りによって起こることがわかった。SH3については、相互作用の詳細に依らず、その天然立体構造によってフォールディング経路は概ね決まっている。 2.水溶性蛋白質のシミュレーションによる立体構造予測問題の解決へむけて、独自の粗視化エネルギー関数(力場)の改良(論文2)、高速構造探索アルゴリズムの開発(論文4)を行った。この両方の寄与によって、protein G程度の長さ、および簡単な構造をもつ蛋白質については、フラグメントで表現される離散的構造空間内において、天然フォールドをもつ構造のエネルギーが最安定になり、かつランダム構造から始めて比較的短時間で天然フォールドが見出せるようになった。本研究によって、非常に小型の蛋白質ドメインに関する限り、粗い精度での構造予測成功の確率はある程度高まってきたといえる。来年度以降、予測精度・確度をより高めることおよび、大きなドメインの構造予測へむけて挑戦する。 3.天然のアミノ酸配列情報を一切使わないで、完全に理論的に人工蛋白質をデザインする手法の確立へむけて、幾つかの研究・開発を行った.とくに、ランダム配列から、アミノ酸のランダム変異、各変異株のフォールディング、機能による選択を繰り返して、高機能蛋白質を得るin silico進化工学シミュレーションが進行中である。とりわけ、高機能を得る過程のある段階で、構造秩序が自発的に発生することを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Seung Yup Lee: "Roles of physical interactions in determining protein folding mechanisms : Molecular simulation of protein G and aspectrin SH3"Proteins : Structure, Function, and Bioinformatics. 55. 128-138 (2004)
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[Publications] Yoshimi Fujitsuka: "Optimizing Physical Energy Functions for Protein Folding"Proteins : Structure, Function, and Bioinformatics. 54. 88-103 (2004)
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[Publications] Fumiko Takagi: "How protein thermodynamics and folding mechanisms are altered by the chaperonin cage : Molecular simulations"Proceedings of the National Academy of Sciences USA. 100. 11367-11372 (2003)
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[Publications] George Chikenji: "A reversible fragment assembly method for de novo protein structure prediction"Journal of Chemical Physics. 119. 6895-6903 (2003)
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[Publications] Akira R Kinjo: "Competition between Protein Folding and Aggregation with Molecular Chaperones in Crowded Solutions : Insight from Mesoscopic Simulations"Biophysical Journal. 85. 3521-3531 (2003)
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[Publications] Wenzhen Jin: "De novo design of foldable proteins with smooth folding funnel : Automated negative design and experimental verification"Structure. 11. 581-590 (2003)