2007 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のフォールディング理論、立体構造予測、及び分子設計
Project/Area Number |
15076207
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 彰二 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60304086)
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Keywords | フォールディング / 立体構造予測 / フラグメントアセンブリ / シャペロニン / ランドスケープ / ネットワーク / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
水の中でタンパク質が自発的に立体構造を形成するフォールディング過程に関して、幾つかの観点から研究した。 アミノ酸配列からの蛋白質立体構造予測において主要な方法であるフラグメントアセンブリ法の大きな問題は、ある程度大きな蛋白質の場合にシミュレーション途中にいったんコンパクトな構造ができると、そこから大きな構造変化を起こすことが困難になる点である。これを克服するアイデアとして、細胞内で分子シャペロンが行っていることを模倣することが考えられる。シャペロニンの繰り返し強制アンフォールディング機構に着目し、これを模したシミュレーションプロトコルを、フラグメントアセンブリ法の中に組み込んだ。38個のテスト蛋白質についてフラグメントアセンブリ法の枠内で、シャペロニンを模したプロトコルと、従来のアニーリングプロトコルとによって、構造予測計算を行い、結果を比較した。標準的な基準で予測の成否を定義すると、従来法が10個の蛋白質で成功したのに対して、シャペロニン法は14個の蛋白質で成功することがわかった。とくに、βシートを含む蛋白質で、新しい方法は従来法より優れていることが、統計的な検定から明らかになった。 昨年度行ってきた、蛋白質Gとランダム配列のポリペプチドとに加えて、今年度はsrc SH3ドメインについても網羅的構造サンプリングを行い、そこで得られた多様な構造集団を、種々の統計的手法によって2次元上に縮約し、エネルギーランドスケープ解析を行った。フォールディング反応を、コンタクトマップを表現とする距離空間上で記述し、クラスタリング、主成分解析、ネットワーク理論による最短経路探索、ネットワークトポロジー解析などを行った。また構造間遷移率を定義し、マスター方程式を立てて、その時間発展を記述した。 そのほか、蛋白質立体構造予測の一環として、膜蛋白質の立体構造予測法の開発、解析も進めた。
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Research Products
(16 results)