2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15076213
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 祐幸 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (70185487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 久士 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特任講師 (80360337)
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Keywords | タンパク質の折り畳み / 分子シミュレーション / 分子動力学法 / 拡張アンサンブル法 / マルチカノニカル法 |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は以下のとおりである。 1.拡張アンサンブル法の一つであるマルチカノニカル法とマルチオーバーラップ法の利点を合体させた、マルチカノニカル・マルチオーバーラップ法を開発した。 2.今回開発したマルチカノニカル・マルチオーバーラップ法をアルツハイマー病の原因ペプチドである、アミロイドβペプチドの29番目から42番目のアミノ酸残基に対応するペプチドフラグメント2個の系に適用して、アミロイド形成の初期過程を考察した。2つのペプチドフラグメントが空間的に離れているときは、αヘリックスやβヘアピン構造をしているが、それらが近づいてくると、2次構造がこわされて、βストランド状にまっすぐに伸びた構造が結合して、2本のβストランドが水素結合でβシート構造を作ることが示唆された。アミロイド線維はこのβシート構造が更に結合して形成されると推測された。 3.数年前にわれわれが開発した拡張アンサンブル法である、マルチバーリック・マルチサーマル法は、エネルギーと体積の2次元空間でランダムウォークする手法であり、特に、タンパク質の高圧変性を研究するのに適した手法である。我々は、昨年に続き、水中のアラニンジペプチドの系にこの手法を適用して、この系の高圧実験の結果と比較した。今年は、この計算にAMBER99とAMBER96の2つのポテンシャルエネルギーを使った。我々の以前の研究のより、前者はαヘリックスを後者はβシートを作り過ぎる傾向があることが分かっている。ラーマン散乱の実験によって、得られた部分モルエンタルピーや部分モル体積は、ちょうど、これらの2つのエネルギー関数で得られた計算結果の中間にあることが判明した。理想的なエネルギー関数はこれら2つのエネルギー関数の中間的なものに対応することが示唆された
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Research Products
(5 results)