2006 Fiscal Year Annual Research Report
輸送小胞形成・積み荷蛋白質選別の分子機構とその高次機能における役割
Project/Area Number |
15079203
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大野 博司 独立行政法人理化学研究所, 免疫糸構築研究チーム, チームリーダー (50233226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 耕二 独立行政法人理化学研究所, 免疫糸構築研究チーム, 研究員 (20359714)
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Keywords | 小胞輸送 / AP複合体 / ノックアウトマウス / μ1B / tGolgin-1 / CLASP |
Research Abstract |
本研究では、AP複合体ファミリーのうち、高等多細胞生物に特徴的な上皮細胞に限局して発現するAP-1Bの遺伝子改変マウスを用いた個体レベルでの解析、ならびにTGN膜結合蛋白質であり、TGNの構造維持やTGNを介する輸送の制御に関わると考えられるtGolgin-1の構造機能解析を行った。 1.上皮細胞特異的輸送因子μ1Bノックアウトマウスの解析 μ1B欠損マウスでは小腸の肥大が認められ、それは細胞増殖の異常によって引き起こされていた。細胞増殖の異常はμ1Bによって輸送されるタンパク質が誤輸送されることにより生じたE-cadherinの減少により、β-cateninがE-cadherinと複合体を形成できずに核へ移行することが原因と考えられる。また細胞の側基底面に頂端部様の構造が形成されていることなどから、μ1Bは小腸上皮細胞の極性形成において重要な役割を担っていると考えられる。 2.tGolgin-1-CLASP相互作用の機能解析 tGolgin-1が細胞周期制御に重要な役割を果たすCLASPと結合することから、tGolgin-1自身も細胞周期の進行に関与している可能性がある。そこで、RNAiによるCLASPあるいはtGolgin-1のノックダウンが細胞周期に及ぼす影響を観察したCLASPをノックダウンした細胞では3つ以上の紡錘体極が出現し、細胞分裂は中期以降には進行しないようであった。一方tGolgin-1をノックダウンした細胞においても3つ以上の紡錘体極が出現し、細胞分裂のそれ以上の進行を阻害しているようであった。これらのノックダウン細胞では細胞増殖が阻害されていたことから、細胞分裂が停止させられた結果これらの細胞では細胞死が起こっていると考えられる。一方、tGolgin-1ノックダウン細胞では間期においてもゴルジ体の断片化が認められるが、CLASPノックダウン細胞ではゴルジ体は中心体近傍に集積した正常な形態を呈していたことから、ゴルジ体の形態や細胞周期における両者の機能は独立したものであるかも知れず、より詳細な検討が必要である。
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Research Products
(4 results)