2004 Fiscal Year Annual Research Report
精子幹細胞の増殖制御機構の解明とその発生工学への応用
Project/Area Number |
15080205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 隆司 京都大学, 医学研究科, 教授 (30322770)
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Keywords | 精子形成 / 幹細胞 / 移植 |
Research Abstract |
精子幹細胞は精子形成の源になる細胞である。我々は2003年にマウス精子幹細胞の長期培養に成功し、これをGermline stem (GS)細胞と命名した。この細胞は不妊マウスの精細管内にマイクロインジェクションすると精子形成を再開し、培養細胞由来の子孫を作ることができる。本年度我々はこのGS細胞への遺伝子導入に成功し、GS細胞が薬剤選択が可能な細胞であることを証明した。野生型マウスより樹立されたGS細胞に蛍光蛋白質とネオマイシン耐性遺伝子を導入、ネオマイシンにより薬剤選択を行い、クローン化を試みた。クローンにされたGS細胞は不妊マウスの精巣内に移植後、精子形成を起こし、子孫を作成した。 この子孫は蛍光蛋白質を発現しており、薬剤耐性遺伝子DNAのゲノムへの取り込みパターンをサザンブロットにより解析すると、それぞれのクローンで異なるパターンを示しており、生まれた子孫の50%が導入遺伝子を保持していた。これにより我々は一個のGS細胞から子孫を作成することに成功し、GS細胞が薬剤選択可能な細胞であることを証明することができた。 また、我々はGS細胞の樹立の過程にES細胞と同じ形態をもつ細胞が増殖することを見いだした。この細胞はES細胞と同様な表現形を示しており、機能的にも区別することができない。唯一、ゲノムインプリントのパターンがES細胞と異なる点である。我々はこのES様細胞をmultipotent germline stem (mGS)細胞と命名した。mGS細胞は今後再生医療や生殖工学に有用な細胞になることが予想される。
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Research Products
(7 results)