2005 Fiscal Year Annual Research Report
精子幹細胞の増殖制御機構の解明とその発生工学への応用
Project/Area Number |
15080205
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 隆司 京都大学, 医学研究科, 教授 (30322770)
|
Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 幹細胞 / 分化 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究は精子幹細胞の増殖制御を調べ、その結果を応用し発生工学手法を開発することが目的である。これまでの我々はマウス精子幹細胞の培養に成功し、これをGermline Stem (GS)細胞と名付けた。GS細胞は精子幹細胞のモデルとなる細胞であり、この細胞を用いて精子幹細胞の増殖制御機構を解析を行った。まず一つには、精子幹細胞の寿命の解析である。我々は精子幹細胞の長期培養を行い、培養中の精子幹細胞が2年以上に渡って精子形成を安定的に行うことを見いだした。精子幹細胞は2年の培養ののちもインプリンティングや核形、増殖速度に変化なく、移植により正常な精子を産生し、子孫も作成した。しかし同時に、精子幹細胞がテロメラーゼを発現するにも関わらず、そのテロメア長は2年の培養の間に短くなっていることも観察された。これらの実験結果から、精子幹細胞が無限ではないが極めて長い寿命を持っていることを強く示唆する。 GS細胞の性質の解析とともに、我々はGS細胞の培養条件の改善も行った。我々が報告した原法ではGS細胞は血清の存在下でmouse embryonic fibroblast feeder(MEF)上で培養するものである。しかしながら、本年度我々はフィーダーフリーの培養条件を見いだし、GS細胞の長期培養に成功した。MEF上で培養していたGS細胞をラミニンでコートされた培養皿の上で培養することにより、GS細胞は完全にフィーダー非依存性に増殖する。また、MEF上で培養する限りにおいては、この細胞は無血清培地で培養することも可能になった。しかしながら、GS細胞は無血清でフィーダーフリーの状態では培養することができず、今後さらなる培養条件の改善を進めていく予定である。
|
Research Products
(4 results)