2004 Fiscal Year Annual Research Report
核の初期化促進方法の確立およびクローン胚から作成したntES細胞の正常性の検討
Project/Area Number |
15080211
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若山 照彦 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, チームリーダー (40360672)
|
Keywords | クローン / 核移植 / 初期化 / ES細胞 / ntES細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
我々はクローン動物および体細胞由来ntES細胞を効率よく作出する方法の開発および初期化のメカニズムの解明を試みている。これまでに我々はクローン動物の成功率は非常に低いが、ntES細胞の成功率はそれほど低くないことを明らかにしてきた。しかしクローン動物と同様にntES細胞の樹立成績においてもドナーマウスの遺伝的バックグランドが影響するかどうかは分かっていなかった。そこで我々は多数の系統のマウスの雌雄、および異なる組織を用いてntES細胞の樹立を試みた。その結果、いずれのドナーマウス、性別、組織の細胞からでも、さらにはクローンマウスを作ることが出来ない系統であってもntES細胞は比較的高率に樹立することが出来た(Wakayama et al.,2005a)。どの個体からでもntES細胞は樹立できる可能性を初めて示した。しかしながらこの結果はntES細胞のうちのいくつかは致死のクローン胚から樹立されたことを意味している。そこで我々は免疫染色、SKY-FISH法による染色体解析、DNAのメチル化の有無、遺伝子発現などさまざまな手法を用いて受精卵由来のES細胞と体細胞由来のntES細胞を比較している最中である。 一方我々は、応用研究として生殖細胞を完全に無くしたミュータントマウスから、核移植およびntES細胞の技術を用いて子孫の作出を試みた。体細胞からのクローン個体の作出には失敗したが、尻尾からntES細胞の樹立には成功した。このntES細胞を受精卵に注入してキメラマウスを作出し交配することで、ntES細胞由来の精子を作り不妊マウスの子孫を作ることに成功した(Wakayama et al.,2005b)。このようにntES細胞は、正常性の検討が遅れてはいるものの研究において重要な技術であることが分かってきた。
|
Research Products
(6 results)