2005 Fiscal Year Annual Research Report
核の初期化促進方法の確立およびクローン胚から作成したntES細胞の正常性の検討
Project/Area Number |
15080211
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若山 照彦 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, チームリーダー (40360672)
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Keywords | 核移植 / 初期化 / リプログラミング / クローン / ES細胞 / NT-ES細胞 / 再生医学 |
Research Abstract |
我々はクローン動物および体細胞由来ntES細胞を効率よく作出する方法の開発および初期化のメカニズムの解明を試みている。17年度にはntES細胞の樹立成績はマウスの性別や系統に影響を受けないこと、組織によって成績に若干の差が出ることを明らかにした(Wakayama et al., 2005a)。この技術を応用することで生殖細胞を完全に欠損している不妊マウスから子孫を得ることに成功した(Wakayama et al., 2005b)。またクローン個体を確実に作出するための手段としてntES細胞が利用できることを明らかにした(Wakayama et al., 2005c)。一方クローン動物特異的な異常により出生直後に死んでしまう個体から未熟な生殖細胞を採取し、ヌードマウスなどに移植することで成熟させ、その後体外受精に用いることで致死のクローンマウスから正常な子孫を得ることに成功した(Ohta and Wakayama 2005)。この成果は現在の不完全な核移植技術であっても子孫を得ることが可能であることを証明し、絶滅危倶種などの救済に利用できることを示している。さらに我々は最近、ヒストンのアセチル化促進剤であるトリコスタテンAを培養液に加えることでクローンマウスの成功率が6倍に、ntES細胞の樹立成績は3倍に改善できることを明らかにした(Kishigami et al., 2006)。最初の体細胞クローン動物が生まれてから10年近くたつが、これまで誰も成功率の改善に成功した者はなく、今回の成果は薬品処理で核の初期化が促進できること、初期化にはヒストンの修飾が重要であることなどを初めて明らかにした。
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Research Products
(7 results)