2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
斉藤 昌之 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (80036441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 和弘 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (30192561)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / UCP / 白色脂肪細胞 / 遺伝子 |
Research Abstract |
褐色脂肪細胞は、ミトコンドリアの脱共役蛋白質UCP1によって脂肪酸を酸化分解し熱に変換する活性を有しており、白色脂肪細胞とは逆に、エネルギー消費に寄与する特殊な細胞である。両脂肪細胞は共通の幹細胞から前駆脂肪細胞を経て分化するとされているが、両者の機能分化を決定づける分子機構は不明である。我々はこれまで、p53ノックアウトマウスから褐色脂肪細胞を分離し、不死化させて細胞株(HB2)として樹立する事に成功した。本研究の目的は、(1)このHB2細胞を用いて、前駆脂肪細胞の段階で遺伝子発現を網羅的に解析し、同一ゲノムを持つp53ノックアウト白色脂肪細胞(HW)と比較することにより、褐色脂肪細胞を決定づける分子機構を解明し、(2)それらをin vivoで支配制御する神経液性機構を明らかにすることによって、(3)褐色脂肪細胞の増殖分化及び機能を制御する方策を見出して、エネルギー消費代謝やその異常への新たな理解対策を探ることである。 上記の目的に沿って、以下の研究成果を得た。 1)HB2細胞の場合と同様の手法で、p53ノックアウトマウスの白色脂肪組織から、前駆脂肪細胞を分離し不死化白色脂肪細胞株HWとして樹立した。 2)HB2,HW細胞共に、デキサメタゾン、IBMX、インスリンなどの存在下で脂肪細胞様に分化し、aP2などの特異的マーカー分子を発現すると共に細胞内に脂肪滴を蓄積した。 3)分化したHB2はそれ単独でUCP1を発現していたがノルアドレナリンで刺激すると大幅に増加した。一方、HBはUCP1は発現せず刺激の有無に拘わらずUCP2を高発現していた。 4)未分化及び分化HB2とHWからmRNAを調製し、マクロアレイ解析によって網羅的に遺伝子発現パターンを比較したところ、UCP1に加えて心臓タイプ脂肪酸結合タンパク質(H-FABP)などがHB2で高発現することを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 木村和弘, 石岡克己 他: "犬と猫のレプチン-血中濃度の測定とその肥満評価への応用-"獣医畜産情報. 56. 43-46 (2003)
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[Publications] 斉藤昌之: "エネルギー消費の自律的調節と肥満に関する分子栄養学的研究"日本栄養・食糧学会誌. 56. 33-39 (2003)
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[Publications] Kitamura H, Matsushita Y et al.: "Bacterial lipopolysaccharide-induced expression of the IkB protein MAIL in B-lymphocytes and macrophages."Arch.Histol.Cytol.. 66. 53-62 (2003)
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[Publications] 大橋敦子, 斉藤昌之: "共役脂肪酸の体脂肪低減効果とインスリン抵抗性・脂肪肝"肥満研究. 9. 128-135 (2003)
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[Publications] Haruki Shibata, Noriyasu Sasaki et al.: "Feline Leptin : Immunogenic and Biological Activities of the Recombinant Protein, and Its Measurement by ELISA."J.Vet.Med.. 65. 1207-1211 (2003)
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[Publications] Kitamura T, Kimura K, Makondo et al.: "Proinsulin C-peptide increases nitric oxide production by enhancing mitogen-activated protein-kinase-depentent transcription of endothelial nitric oxide synthase in aortic endothelial cells of Wistar rats."Diabetologia.. 46. 1698-1705 (2003)