2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 敏正 東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員(客員助教授) (40372370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 直人 東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員(助手相当)
門脇 孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30185889)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / AMPキナーゼ / PPAR / アディポカイン / 受容体 / 肥満 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
肥満によって血中アディポネクチン値が低下することが、メタボリック症候群の少なくとも大きな原因の1つになっていると考えられている。PI3キナーゼ活性が上昇してインスリン作用が亢進しているPI3-kinase p85αノックアウトマウスでは、アディポネクチンの分泌が増加しているのが認められた(Diabetes 53:2261,2004)。我々はさらに、新規のIKKβ阻害剤がアディポネクチンの血中レベルを増加させてインスリン抵抗性を改善させているのを報告した(BBRC 323:242,2004.)。そのメカニズムとして、肥満に伴い増加する炎症性サイトカインによるPI3キナーゼ-Akt経路の遮断を解除しているからである可能性もあることを報告した。Lodishらのグループは、アディポネクチンが切断されて出来るC末側のglobularアディポネクチンが実際にヒト血中に存在することを報告した。我々は単球系の培養細胞から炎症などの刺激によって分泌される好中球エラスターゼがアディポネクチンを切断して、globularアディポネクチンを生成しうることを見出した(Endocrinology 146:790,2005)。しかしながら我々の検討では実際の血中には、globularアディポネクチンは多く見積もっても全長の約1000分の1以下しか存在しないと考えられたので、生体内におけるこの好中球エラスターゼによるアディポネクチンの切断の意義は慎重に検討していく必要があるものと考えられた。我々は先に、特異的結合を指標にした発現クローニング法により、アディポネクチン受容体(AdipoR)1とAdipoR2を同定し,AMPキナーゼ、及びPPARαの活性化などを介し、脂肪酸燃焼や糖取込み促進作用を伝達していることを示した(Nature 423:762,2003)。今年度は肥満・2型糖尿病のモデルマウスの骨格筋・脂肪組織においては、AdipoR1・R2の発現量が低下し、アディポネクチン感受性の低下が存在することを示した(J.Biol.Chem.279:30817,2004)。肥満では血中アディポネクチンレベルとアディポネクチン受容体の発現が低下し、糖尿病・メタボリック症候群とそれに伴う動脈硬化の原因となっている。同定したアディポネクチン受容体の作動薬やアディポネクチン抵抗性改善薬の開発は、糖尿病・メタボリック症候群・動脈硬化症の根本的な治療法開発の道を切り開くものと強く期待される。
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Research Products
(7 results)