2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 敏正 東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員(客員助教授) (40372370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 直人 東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員(助手相当) (50396719)
門脇 孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30185889)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / AMPキナーゼ / PPAR / アディポカイン / 受容体 / 肥満 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
今年度、本特定領域アディポミクスを核とした内外の共同研究により、脂肪細胞分化に転写因子KLF15が重要な役割を果たすこと(J.Biol.Chem.,280:12867,2005)、AGFが抗肥満・抗糖尿病のホルモンとして作用することを報告した(Nat Med.11:400,2005)。これまで、肥満によってアディポネクチン(Ad)が低下することが、メタボリックシンドロームの少なくとも大きな原因の1つになっていると考えられてきた。我々は、さらに、過食から肥満・インスリン抵抗性が発症してくるのに伴って、総量のAdだけのみならず、高活性型である高分子量型(HMW)Adがとりわけ低下してくることを見出した。この低下したHMWAdを摂餌制限が増加させることを見出した。さらにPPARγアゴニストであるチアゾリジン誘導体(TZD)がこのHMWAdを顕著に増加させることを見出した(Diabetes 54:3358,2005)。我々は更に、Ad欠損マウスを用いて、このTZDによる総量、あるいはHMWAdの増加が、TZDによる抗糖尿病作用に有意に貢献していることを示した(J.Biol.Chem.,281:8748,2006)。我々は先に、Ad受容体(AdipoR)1とAdipoR2を同定し,AMPキナーゼ、及びPPARαの活性化などを介し、脂肪酸燃焼や糖取込み促進作用を伝達していることを示し(Nature 423:762,2003)、さちに肥満・2型糖尿病のモデルマウスにおいては、AdipoRの発現量が低下し、Ad感受性の低下が存在することを報告してきた(J.Biol.Chem.279:30817,2004)。今年度は、先ずヒトにおいてAdipoRのcoding近傍領域のSNPで、糖尿病と有意に相関するものはないということを報告した(Diabetologia 48:1307,2005)。AdipoRは、より環境因子に影響を受けて、糖尿病発症に関わる可能性が考えられた。一方、肥満症におけるAdipoRの発現低下を、PPARαアゴニストは脂肪組織において回復させ、MCP-1の発現を抑制し、マクロファージの浸潤を抑制し、炎症が惹起されるのを低減させているのを見出した(Diabetes 54:3358,2005)。Adの血中レベルを増加させるPPARγアゴニストとの併用、あるいはPPARαγのデュアルアゴニストは実際にモデルマウスで相加効果を発揮しており、現在臨床治験が進んでいるPPARαγのデュアルアゴニストの作用機構を少なくとも一部説明するものと考えられた。
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Research Products
(6 results)