2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081203
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70291424)
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Keywords | アディポサイトカイン / 炎症 / 脂肪細胞 / マクロファージ / 遊離脂肪酸 / TNFα |
Research Abstract |
従来、前駆脂肪細胞がマクロファージ様細胞に分化することが報告されており、脂肪細胞とマクロファージの関係の検討は脂肪細胞の増殖・分化の分子機構の解明につながることが期待される。一方、肥満の脂肪組織ではマクロファージの浸潤が増加することが報告されており、脂肪組織における炎症性変化がメタボリックシンドロームの基盤病態として注目されている。本研究では、3T3-L1脂肪細胞とRAW264マクロファージの共培養系を新たに確立し、脂肪細胞とマクロファージの相互作用の分子機構と病態生理的意義を検討した。脂肪細胞とマクロファージの共培養により、両細胞における炎症性サイトカインの産生増加が認められ、脂肪細胞とマクロファージの相互作用が炎症性変化を誘導することが示唆された。この炎症性変化の増加は両細胞の接触の有無にかかわらず認められ、主に液性因子の関与が示唆された。実際には、脂肪細胞に由来する遊離脂肪酸がマクロファージを活性化すること、これによりマクロファージにおけるTNFα産生を増大して遊離脂肪酸の産生を増大する「悪循環(vicious cycle)」の存在が明らかになった。興味深いことに、遊離脂肪酸のうち飽和脂肪酸はマクロファージの活性化作用を有するが、多価不飽和脂肪酸には炎症促進作用は認められなかった。本研究により脂肪組織局所において脂肪細胞とマクロファージが相互に活性化することにより脂肪組織の炎症性変化が増大することが示唆され、脂肪組織におけるアディポサイトカイン産生調節の破綻がもたらされると考えられた。
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Research Products
(4 results)