2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081203
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70291424)
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Keywords | 肥満 / 脂肪細胞 / マクロファージ / 飽和脂肪酸 / TNFα / TLR4 / 炎症性変化 / 脂肪分解 |
Research Abstract |
肥満の脂肪組織においてマクロファージ浸潤の増加が報告されて以来、肥満あるいはメタボリックシンドロームと脂肪組織の炎症性変化の関係が注目されている。我々は既に、脂肪細胞とマクロファージの共培養系を確立し、脂肪細胞に由来する遊離脂肪酸、特に、飽和脂肪酸がマクロファージの炎症性変化を誘導すること、これによりマクロファージにおけるTNFαの産生が増加して脂肪細胞における脂肪分解と炎症性変化を増大することを証明し、脂肪細胞とマクロファージの問には飽和脂肪酸とTNFαをメディエータとする「悪循環」が存在することを提唱してきた。本年度は、脂肪細胞とマクロファージの相互作用により誘導される炎症性変化にはNF-κBの活性化が重要な役割を果たすこと、TLR4の遺伝子変異を有するC3He/Jマウスを用いた検討により、マクロファージにおいて飽和脂肪酸は自然免疫反応に関与するTLR4を介してNF-κBを活性化することを証明した(Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 27:84-91,2007;Biochem. Biophys. Res. Commun.354:45-49,2007)。食事性にも摂取される飽和脂肪酸は全身の代謝異常と炎症反応をリンクする有力な鍵分子であると考えられるが、脂肪組織に浸潤するマクロファージは脂肪分解を促進して飽和脂肪酸の産生を増加し、これがTLR4の内因性リガンドとして脂肪組織局所のみならず全身に炎症性変化をもたらすと考えられた。以上より、肥満の脂肪組織の炎症性変化における飽和脂肪酸/TLR4/NF-κB経路の病態生理的意義と創薬ターゲットとしての可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)