2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15081203
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 教授 (70291424)
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Keywords | 肥満 / 脂肪組織 / マクロファージ / MKP-1 / MCP-1 / 炎症 |
Research Abstract |
肥満の脂肪組織におけるマクロファージ浸潤には、monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)とその受容体であるCCR2が重要な役割を果たすことが報告され、脂肪組織の炎症性変化のみならず全身の糖代謝に関与すると考えられている。本研究では、肥満の進行に伴うMCP-1産生調節の破綻とその分子機構を検討した。 C57BL/6Jマウスに高脂肪食を負荷して経時的に観察したところ、脂肪細胞肥大化、MCP-1発現亢進に引き続き、マクロファージの浸潤を認めた。この時、MCP-1発現亢進に先行してERKのリン酸化とMAPKの負の制御因子であるMAPKphosphatase-1(MKP-1)の発現低下を認めた。MCP-1発現誘導の分子機構を明らかにするために、3T3-L1の長期間培養(分化誘導後21日間)による培養脂肪細胞の肥大化モデルを構築した。肥大化脂肪細胞では、非肥大化脂肪細胞(分化誘導後8日目)と比較して、中性脂肪蓄積の増加とともにMCP-1発現が著しく亢進し、interleukin-6の発現亢進やアディポネクチンの発現低下など、肥満の脂肪組織と同様の変化を認めた。また、肥大化脂肪細胞では、肥満の脂肪組織と同様に、ERKのリン酸化亢進とMKP-1の発現低下を認めた。肥大化脂肪細胞にMEK阻害剤を添加、あるいはアデノウイルスによりMKP-1を過剰発現すると、MCP-1の発現亢進は顕著に抑制された。 本研究により、脂肪細胞の肥大化に伴うMKP-1の発現低下がERKの活性化を介してMCP-1の発現誘導に関与することが明らかになり、肥満の脂肪組織における炎症性変化にMKP-1が重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)