2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアによるグルタミン酸を介した神経伝達の動的制御
Project/Area Number |
15082204
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 博 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20155774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 嘉孝 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (20217095)
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Keywords | ミクログリア / 培養上清 / 海馬CA1野ニューロン / NMDA受容体 / グリシン結合部位 / パッチクランプ法 / 長期増強 |
Research Abstract |
我々はこれまでミクログリア培養上清(MCM)にNMDA受容体を介した反応を増強する活性があることを報告してきた。今回はMCMによるNMDA受容体を介した反応の増強メカニズムを明らかにすることを目的に検討を行った。実験にはC57BL/6マウス(2週齢)の海馬スライス標本より機械的処理によって単離した単一CA1野ニューロンを用い、ホールセルモードのパッチクランプ法により記録を行った。Y-チューブ法で適用したNMDAによって惹起される内向き電流はMCM(0.01〜10%)により用量依存的に増強された。この増強活性は熱抵抗性を示し、3kDa以下の分画に回収された。しかし、グリシン存在下ではNMDA電流の増強活性は認められなかった。また、グリシン非存在下におけるMCMによるNMDA電流の増強活性はグリシン結合部位阻害剤である5,7-dichlorokynurenic acidによりほぼ完全に抑制された。さらに、D-セリン分解酵素であるD-amino acid oxidaseの影響は受けなかった。このことからMCMに含まれる活性分子がD-セリンである可能性は低いと考えられる。さらに、ラットスライス海馬スライス標本を用いシェファー側枝-CA1野シナプスにおける長期増強(LTP)に対するMCMの影響を検討した。その結果、高頻度刺激(100Hz,1秒)によって誘発されるLTPに対しては影響を及ぼさなかったが、比較的低頻度の刺激(20Hz,5秒)によって誘発されるLTPを有意に増強した。以上の結果より、MCMはNMDA受容体グリシン結合部位に作用し、NMDA受容体を介した反応を増強する可能性が強く示唆された。
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Research Products
(3 results)