2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアによるグルタミン酸を介した神経伝達の動的制御
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15082204
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 博 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20155774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武 洲 九州大学, 歯学研究院, 助手 (10420598)
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Keywords | ミクログリア / グルタミン酸 / カイニン酸受容体 / 細胞周期 / パッチクランプ / リアルタイムRT-PCR / GluR / 脳虚血 |
Research Abstract |
ミクログリアは機能的なAMPA/カイニン酸型のグルタミン酸受容体を発現しているがグルタミン酸あるいはカイニン酸に応答する初代培養ミクログリアの割合は極めて低い(約20%)。我々はミクログリアに対するグルタミン酸の作用を解析する過程でミクログリアの細胞周期が応答性を決定する大きな要因となっていることを見い出した。ホールセルモードのパッチクランプ法を用いて解析を行った結果、増殖期にあるミクログリアでは大部分の細胞がグルタミン酸ならびにカイニン酸に応答し(約80%)、比較的大きな内向き電流を惹起した(11〜17pA)。一方、停止期にあるミクログリアはグルタミン酸ならびにカイニン酸に応答する細胞数は少なく(約20%)、応答を示す細胞でも惹起される内向き電流は増殖期の細胞に比べて有意に小さかった(4〜6pA)。また、グルタミン酸により惹起される内向き電流はカイニン酸受容体の選択的拮抗薬(UBP296)によって抑制され、またカイニン酸の選択的作動薬(ATPA)の適用によっても同様な内向き電流が惹起された。そこで次にリアルタイムRT-PCR法を行い、カイニン酸受容体サブユニットのmRNA量の定量的解析を行った。その結果、特にチャネル機能を担うGluR6のmRNA量は増殖期において比較的多く発現しているが、停止期では増殖期の1/10程度に減少することが明らかとなった。さらに、GluR6/GluR7を認識する抗体を用いて免疫染色を行った結果、脳虚血後の海馬における増殖性ミクログリアにおいて発現が増大することが明らかとなった。我々は以前、ミクログリアはカイニン酸受容体を介してTNF-αを産生分泌することを報告した。今回の結果を合わせると、増殖性ミクログリアはカイニン酸受容体を介したグルタミン酸応答によりTNF-αを産生分泌し、グルタミン酸を介した神経伝達を修飾する可能性が強く示唆される。
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Research Products
(5 results)