2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外ATPを介したアストログリア-ニューロン相互調節機構の解明
Project/Area Number |
15082212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 和秀 九州大学, 大学院・薬学研究院・薬効解析学分野, 教授 (80124379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 修一 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長(研究職) (10280752)
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Keywords | ATP受容体 / P2Y1 / 神経保護作用 / アストロサイト / H2O2 / DNAチップ解析 / 酸化ストレス / 神経細胞死 |
Research Abstract |
細胞外ATPはアストロサイト間のコミュニケーション"gliotransmission"またニューロン-アストロサイトが形成するtripartite synapse間の情報連絡で重要な役割を果たす。しかし、ATPがアストロサイトの生理機能に与える影響については不明な点が多い。我々はDNA chipを用いた網羅的解析により、ATPがアストロサイトの酸化ストレス緩和に関与する遺伝子群(oxidoreductase genes)の発現を上昇させることを見出した。実際ATPは過酸化水素により誘発されたアストロサイト細胞死をATPの濃度及び処置時間依存的に抑制した。この細胞死抑制作用はその作用発現に12時間以上を要し、蛋白質合成酵素阻害剤により消失することから、oxidoreductase類の発現上昇に起因していることが示唆された。この応答の責任受容体はP2Y1受容体であり、強力なニューロン保護作用を呈するATP分解産物アデノシンはこの保護効果に関与しなかった(Y.Shinozaki, S.Koizumi, S.Ishida, J.Sawada, Y.Ohno and K.Inoue : Cytoprotection against oxidative-stress-induced damage of astrocytes by extracellular ATP via P2Y1 receptors. Glia 49,288-300,2004)。アストロサイトは神経細胞に比べ酸化ストレスに強いが、本実験結果はATP/P2Y1受容体を介するシグナル伝達系がアストロサイトの酸化ストレス抵抗性獲得と関係している可能性を示唆するものである。このアストロサイト自身の保護作用は、ニューロンを含めた脳機能維持とも強く関連すると考えられる。
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Research Products
(6 results)