2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーションによる膜タンパク質の構造変化と物質輸送機構の解明
Project/Area Number |
15083201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉田 有治 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (80311190)
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Keywords | 分子動力学法 / 膜タンパク質 / 拡張アンサンブル法 |
Research Abstract |
脂質二重膜により隔てられた細胞の内と外にまたがるイオンやプロトンなどの物質輸送には、チャネルやポンプ、またはトランスポーターといった膜タンパク質が重要な働きをしている.本研究では,膜輸送タンパク質による物質輸送のメカニズムの解明するために,その立体構造を用いた分子シミュレーションを実行した. 本研究の特徴は, (1)巨大な膜タンパク質の構造変化を,膜タンパク質・脂質二重膜・溶媒を含む全原子モデルを用いた分子シミュレーションを実行していること (2)ミリ秒から秒といった遅い膜タンパク質の運動をシミュレーションするために,これまで主にタンパク質の折れ畳み問題などに用いられてきた新しい効率的な構造サンプリングの手法である拡張アンサンブル法を適用可能にすること の2点である, (1)の点に関しては,筋小胞体カルシウムポンプのカルシウム結合型と非結合型に関する全原子分子動力学計算を実行する計算システムを確立し,10nsec以上の分子動力学計算を実行した.現在その結果を解析中である.(2)に関しては,サンプリング法のみならず,用いる分子力場ポテンシャルを評価することも重要な課題であったため,拡張アンサンブル法を用いて既存の分子力場ポテンシャルの評価を行った.また,新しい拡張アンサンブル法であるレプリカ交換アンブレラサンプリング法の有効性を示すため,種々のDNAダイマーに関する計算を実行し,タンパク質・ペプチド系のみならず核酸においても拡張アンサンブル法が有効であることを示した.
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