2008 Fiscal Year Annual Research Report
H^+-ATP合成酵素等の機能制御におけるソフトな分子間相互作用
Project/Area Number |
15083203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿久津 秀雄 Osaka University, 蛋白質研究所, 招聘教授 (60029965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 敏道 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20242381)
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Keywords | H^+-ATP合成酵素 / βサブユニット / 溶液NMR / 区分標識法 / 固体高分解能NMR / 構造解析 / 安定同位体標識 / ソフトな相互作用 |
Research Abstract |
最終年度を迎えて、本研究では好熱菌のH^+-ATP合成酵素F_1(TF_1)βサブユニットを中心に、NMRを用いてソフトな分子間相互作用がF_1の回転を駆動することを明らかにすることができた。ミトコンドリアF_1の結晶構造の触媒部位における水素結合ネットワークを開構造と閉構造で比較すると特徴的な相違がある。PループのLys164の側鎖アミノ基は開構造ではAsp252の側鎖カルボキシル基と水素結合しているが、閉構造ではリン酸基およびGly158のカルボニルと水素結合している。閉構造でAsp252はThr165と水素結合する。そこで、これらのアミノ酸をアラニン置換すると、ATPやADPは結合するがグローバルな構造変化は全く起こさなくなる。さらにこれらの変異βを含むα_3β_3γ複合体も全くATP分解活性を示さなかった。構造変化と活性に必須なLys164, Thr165, Asp252は上述のように水素結合変化で相互に深く関わっている。Asp252がキーとなり、開構造と、閉構造では水素結合のスイッチングが起こっている。ここで、LysとThrで側鎖の長さが異なるため、大きな構造変化となる。このスイッチングを引き起こすのはヌクレオチド結合によるリジン側鎖(Lys164)とリン酸基の水素結合形成である。この構造変化メカニズムはヌクレオチド結合に始まるダイナミックなソフト相互作用といえる。さらに、ADP結合とATP結合では最終段の構造に違いがあり、後者のγ-リン酸はTyr307, Arg256などにより構成されるポケットと相互作用していることが示唆された。この違いは化学シフトの異方性、RDCでも見出された。さらに、RDCで決定された単量体のN末端ドメイン、C末端ドメインの配向角は結晶構造で見出される閉構造の配向角よりも小さく、よりclosedとなっていた。このことは単量体のATP結合構造がF_1における触媒反応活性化構造に近いことを示している。
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Research Products
(11 results)