2005 Fiscal Year Annual Research Report
ライゲーションケミストリーの展開に基づく膜蛋白質合成法の開発
Project/Area Number |
15083204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
相本 三郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80029967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 徹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (70273711)
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Keywords | 膜蛋白質 / v-ATPase / ペプチドチオエステル / 化学合成 / 溶解性 / Fmoc法 / 光反応性補助基 |
Research Abstract |
高純度の膜蛋白質を迅速かつ簡便に合成する方法の開発を目指し、以下の研究を行った。1)光照射により除去できる補助基を利用する蛋白質合成法を用いて、機械刺激作動性イオンチャネルの合成を行った。その結果、アミノ酸136残基よりなる全長イオンチャネルを得ることができたが、光照射により補助基を除去することができなかった。現在原因の究明を行っている。2)N-Sアシル基転位反応の解析を行い、Fmoc固相法によるペプチドチオエステルの調製法の開発に取り組んだ。その結果、通常のFmoc法でペプチド鎖の伸張を行い、保護基の除去と同時にアミド結合をチオエステル結合に変換し、30%程度の収率でペプチドチオエステルを取り出すことのできる条件を見いだすことができた。チオエステル側末端のアミノ酸残基のラセミ化は1%あるいはそれ以下であった。ペプチドチオエステル合成法として極めて有望な方法である。3)液胞型H^+-ATPaseのサブユニットcの全合成に向けた研究を続行した。ヘキサフルオロイソプロピルアルコールは膜貫通ドメインを有するペプチドセグメントも溶解することがわかり、またジメチルスルフィドを添加すればメチオニンの酸化も防げることが分かった。これを合成溶媒として用い、低収率ではあるがH^+-ATPase subunit c(70-155)を合成することができた。4)新規な蛋白質合成法の開発を行い、ペプチドチオエステルを合成ブロックとして用いない方法を開発することができた。この方法ではC末端にCys-Pro-ORの構造を有するペプチドを合成ブロックとして用い、システインあるいはライゲーション補助基をN末端にもつペプチドと混合するとペプチド鎖の形成反応が起こる。現在のライゲーションケミストリーがすべてペプチドチオエステルを合成ブロックとして用いることを考えると、極めてユニークで将来有望な合成法である。
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Research Products
(7 results)