2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15084209
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
和田 仁孝 Waseda University, 大学院・法務研究科, 教授 (80183127)
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Keywords | 弁護士 / 司法書士 / 紛争処理 / 紛争行動 / 法意識 |
Research Abstract |
本年度は、昨年までの終了したデータの整理と基本集計を前提に、研究のとりまとめを行った。ただし、調査実施以降、弁護士数の増大、簡易裁判所代理権を取得した司法書士の業務態様の変化、さらには法テラスやADR法のもとで続々と設置されたADRの運用開始など、弁護士サービスおよび司法書士サービスを中心とするリーガル・サービスの供給体制に大きな変化があり、リーガル・サービスへのアクセスのパターンにも、新たな傾向が生まれてきている可能性があった。たとえば、2008年には、司法書士の裁判外業務の事物管轄について制限的に解釈する神戸訴訟判決が出されるなど、リーガル・サービス供給体制の競合領域でのシステムは未だ流動的である。 そこで最終年度である本年度は、本研究で収集されたデータを基本としつつ、さらにこれら新たな動向を示す統計データや文書など二次資料をも併せて検討を行った。一方で、特定研究全体の構造の一部を構成する研究課題としての整合性をもったデータ分析を行うとともに、他方で、本課題の固有の目的を念頭に、その現状をよりきめ細かに明らかにするために、質問紙調査以降の二次資料を活用していく方策をとった。具体的には、各地の司法書士会や弁護士から統計データやインタビューによる情報収集を行った。 このほか、特に医療事故紛争について、いくつかのケーススタディを通じて、弁護士サービスの利用とアクセスに関する課題、サービス提供パターンとその問題についても検討した。 成果の公表については、学会ではないが、韓国の国会公聴会に招かれ、日本と同様の司法制度改革を検討する材料として、我が国のリーガル・サービスの現状や評価、展望につき、本研究で得られたデータをもとに発表を行った。また、上記のとりまとめについては、近日中に論文としての公表、特定領域研究全体での出版企画への寄稿を予定している。
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