2008 Fiscal Year Annual Research Report
法使用に対する自治体の関与-地域住民の法的ニーズに対する自治体の対応の研究-
Project/Area Number |
15084210
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
阿部 昌樹 Osaka City University, 大学院・法学研究科, 教授 (10244625)
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Keywords | 紛争 / 紛争処理 / 法使用 / 法的ニーズ / 調査票調査 |
Research Abstract |
本年度は、特定領域研究『法化社会における紛争処理と民事司法』において「法使用行動の研究」を分担する他の研究班と共同して、平成17年度および18年度に実施した、市民の法的ニーズ、法使用、および、自治体を含む各種機関の市民の法的ニーズへの対応を定量的に把握するための、一般市民を対象とした全国規模のサーヴェイ調査の調査結果の基本集計書(『法行動調査基本集計書』)をまとめるとともに、この調査結果の統計的な分析に取り組み、その成果の一部を学会報告のかたちで公表した。 基本集計書の作成にあたっては、他の研究班の研究代表者および研究分担者とともに調査結果全体の再検討を行うとともに、個別には欠票分析を担当し、欠票との照合によって有効サンプルの特性と無回答バイアスの可能性について分析した。 研究報告を行った学会は、日本法社会学会とResearch Committee on Sociology of Law, Intemational Sociological Associationの2つである。前者では、わが国における国や自治体の行政組織における紛争処理には、紛争が法的に定義される以前の段階で、その紛争を法的に定義することを回避するようなやり方で処理していく傾向が強いことを、サーヴェイ調査の結果から明らかにした。また後者では、紛争当事者による、自らが巻き込まれた紛争に対処する過程で利用した各種の相談機関の評価が、紛争が首尾よく解決したか否かとともに、当該機関を利用する以前に抱いていた当該機関に対する期待が、実際にどれだけ充たされたかによっても左右されることを、サーヴェイ調査の結果から明らかにした。
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Research Products
(2 results)