2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本人の法意識と司法システムへの信頼-その社会心理学的研究
Project/Area Number |
15084215
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤本 亮 Shizuoka University, 大学院・法務研究科, 教授 (80300474)
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Keywords | 法意識 / 法関心 / 法知識 / 社会調査 / 心理尺度 / 法社会学 |
Research Abstract |
本調査の結果についての分析と研究成果発表を前年度に継続して行った。知見として得られたものは下記のとおりである。 経験や知識は必ずしも直接は法律家の「漠然とした」信頼感には影響していない。法にかかわる経験や知識の絶対量は、他の社会経験に比べ極めて小さいことから、たとえそうした知識や経験が相対的に多くとも、「漠然とした」レベルの信頼度に影響は観察されにくい。権威主義的パーソナリティ尺度や「お上意識」項目のいくつかは法律家に対する「漠然とした」信頼感に一定の影響がみられた。裁判官や弁護士の有する「権威性」(職業上の専門性や社会的地位に由来する)ゆえに、「お上意識」の強い人は法律家を信頼する傾向がみられる。 法経験は、おそらくその頻度の少なさゆえに、「漠然とした」法イメージ(本報告の法律家信頼度や契約・約束イメージ)にはそれほど影響していない。こうしたイメージとパーソナリティは一定の関係が観察された。教育程度には、一定の影響力がみられる。しかし、法教育経験や法知識程度は必ずしも顕著な影響は示していない。(やはり頻度の問題か? あるいは法教育の内容の問題か? ) 法意識の構造については、70年代日本文化会議との比較を、カテゴリカル主成分分析を用いて行った。そこでは、第1成分「無関心」と第2成分「寛容〜厳格」という70年代と同じ構造が発見された。しかし、第3成分では「法への反抗的態度」、第4成分では「人権重視」が見いだされ、70年代日本文化会議の知見とは異なっている。基本的な構造を維持しつつも、日本人の法意識は変化しつつあることがみてとれる
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Research Products
(5 results)