2004 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨組織のマイクロ・ナノ構造における軟骨細胞・周囲組織のメカニクス解明
Project/Area Number |
15086212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 輝夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90091347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤江 義則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10284530)
中嶋 和弘 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70315109)
坂井 伸朗 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60346814)
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Keywords | 関節軟骨 / マイクロ・ナノバイオメカニクス / 軟骨細胞 / 細胞外マトリックス / 力学刺激 |
Research Abstract |
軟骨組織の修復・変性機構の実態解明をめざして,軟骨細胞と細胞外マトリックスの相互関係に着目しながら軟骨組織としてのマクロレベルの解析と細胞を対象としたミクロレベルの解析を対照実験とともに並行的に実施した. 軟骨組織の圧縮試験では,サブミクロンオーダの位置精度を再現しうる共焦点レーザ顕微鏡据付型マイクロ力学試験機を開発し,軟骨細胞を蛍光染色することにより,局所的ひずみの経時的変化の3次元的可視化評価を可能とした.新鮮な豚関節軟骨の一定変位圧縮試験では,中間層では変位付与直後には過大なひずみ応答が生じ,応力緩和過程でひずみの回復が観察されたのに対して,表面層では,応力緩和にともない平衡状態ではひずみが過大化することを観察できた.これらの経時的挙動については,固液二相理論に基づく有限要素解析で同様な挙動を確認するとともに,変形性関節症の進行に対応する軟骨表面の境界条件の影響を評価できた. レーザマイクロマニピュレーションシステムを用いてポリスチレンビーズを利用した軟骨細胞のトラップ操作を可能とした.また,単離軟骨細胞のマイクロ拘束治具を試作した. 力学環境下における軟骨細胞代謝と軟骨組織のマイクロ・ナノ構造形成の解明に関しては,軟骨細胞・アガロース複合体の培養試験により,機械的剛性に関して最適細胞密度条件を見出し,静水圧負荷培養試験により細胞外基質の産生と関連して力学的刺激効果の有無を観測できた.また,ケラタン硫酸およびコラーゲンタイプIIの免疫染色蛍光観察により機械的剛性の変化が3次元的構造化の進行と対応することを確認できた. 生体関節軟骨の対照材料としての高含水性人工軟骨PVA(ポリビニルアルコール)ハイドロゲルについては,蛋白質吸着膜のミクロな構造が摩擦摩耗挙動に影響を及ぼし,吸着膜の最適構造が存在することを原子間力顕微鏡観察や蛍光二重染色観察により確認できた.
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Research Products
(5 results)