2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞・細胞内部の損傷現象の解析と医療応用のための血管微細構造のインフォマティクス
Project/Area Number |
15086213
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 宏 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 助教授 (00220400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 博 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (30176177)
玉川 雅章 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 助教授 (80227264)
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Keywords | 大動脈 / 凍結・融解 / 微細構造 / 引張試験 / 繰返し変形 / 応力-ひずみ関係 / 衝撃波 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
ブタ胸大動脈壁の凍結・融解処理後の組織学的ミクロ構造を調べるため,プログラムフリーザまたは液体窒素を用いて生体熱工学的パラメータを変化させた.試料は生理食塩水に浸し,冷却速度を0.5,1,50℃/min,液体窒素中への投入による急冷の4種類,加温速度は1℃か17℃/min,凍結・融解のサイクル数は1回か3回とした.その結果,低速冷却・高速加温の条件では平滑筋細胞の破壊が顕著であった.また,除荷状態で波状の弾性膜は凍結・融解処理後,振幅が増大し,円周方向のピッチが減少した.一方,巨視的な壁全体の質量・体積変化は見られなかった。次に,種々の凍結条件で得た血管壁試料をダンベル状にして,クロスヘッド間一定ひずみ速度の単軸引張試験および繰返し引張試験を行った.凍結・融解処理後の血管壁の応力-ひずみ曲線は無処理の場合と比べて左側に移動した.すなわち,同じひずみ値に対して応力値と傾き(接線弾性係数)が増大した.試験片は平行部の外で破断するが,そのときの応力値は無処理のものと比べて同等か増加した.また,ひずみ範囲を破断近くまでとした繰返し変形によって凍結処理,無処理の場合とも応力-ひずみ曲線における緩やかな傾きのひずみ区間が増加し,その後の急な傾きが増加し,破断近くで非繰返し条件の曲線に近づいた.微視的構造の破壊は血管壁の軟化・強度低下につながると考えられ,凍結・融解処理が血管構成分子自体の硬化や分子間の連結の強化を生じさせて血管壁の硬化につながることが示唆された. また,血管壁の衝撃波治療時の細胞の形態変化を観察するため,液中分散の内皮細胞に最大圧力0.3MPaの水中衝撃波を1〜5回作用させ,顕微鏡画像上で細胞形状,細胞面積,細胞数の時間変化を調べた.その結果,衝撃波非作用時と比べて形状が変化し,面積・細胞数は衝撃波の作用回数とともに増加速度が増した.
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Research Products
(1 results)