Research Abstract |
基質に静的変形を与えたときの共焦点レーザ顕微鏡観察法より,静的つりあいにある血管内皮細胞は超弾性体モデルで精度よく近似できることを明らかにした.また,血管を構成する弾性線維と膠原線維のたるみを正規分布で与えたモデルによって,単軸引張り変形のブタ大動脈の応力-ひずみ関係を再現した. 毎分1℃と10℃のオーダの冷却速度で凍結・融解処理した,新鮮なブタ大動脈の同一試験片で準静的引張試験を行い,処理前後の応力-ひずみ関係を調べた結果,処理によって組織が硬化し,大きな冷却速度のほうがより硬化していた.また,凍結組織の割断面のCryo-SEMによる画像計測と,凍結固定組織の切片試料の組織染色の光学顕微鏡観察と検鏡を行った.冷却速度は前者で0.5℃/minから1×10^4℃/minの4通り,後者で1℃/min,50℃/minとした.1)氷結晶の形成は弾性繊維と平滑筋細胞の間と,平滑筋細胞内の場合があること,2)冷却速度が高いほど氷結晶は小さく,数が増すこと,3)組織の形態学的損傷は主に平滑筋で起こること,4)弾性繊維の割合が少なく平滑筋細胞の割合が多い中膜の内膜側や外膜側で,その損傷・破壊の程度が大きいことなどを明らかにした. 分散または付着状態の培養血管内皮細胞に立上り数μ秒,持続時間数十μ秒,最大圧力0.3MPa鋸歯波形の水中平面衝撃波を作用させ,細胞損傷率,細胞数変化と遺伝子レベルの増殖能変化を調べた.その結果,分散状態の細胞では,衝撃波の作用回数が増すほど死滅率・細胞数とも上昇し,衝撃波回数が1〜5回では死滅率を考慮しても細胞数の変化は1.5〜2.5倍程度だった.分散細胞では,衝撃波作用による細胞数の有意な変化はなく,細胞分裂を行う細胞数が増えた.遺伝子レベルでの増殖能をリアルタイムPCR法で調べ,衝撃波作用による増殖能の増進を定量的に確認し,分散状態の細胞数の増加を裏付けた.
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