2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15087103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿波賀 邦夫 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (10202772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 渉 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助手 (50292719)
岩坂 正和 千葉大学, 工学部, 助教授 (90243922)
照井 通文 情報通信機構, 基礎先端部門, 主任研究員 (50359098)
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Keywords | 双安定性 / 分子磁性体 / ナノ磁石 / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
今年度は、環状チアジルラジカルの物性探索を中心に研究を進めた。その結果、電子移動が関与するいくつかの興味深い特性を見出すことができた。チアジルラジカルBDTAについて、BDTA_2[Co(mnt)_2]なる2:1塩を合成した。室温ではBoTA^+と[Co(mnt)_2]^<2->のような状態に近いが、温度を減少とともに、230KでBDTAから[Co(mnt)_2]へ1電子移動する一次相転移を見出した。両分子のg値の違いにより、磁化率の温度依存性は顕著な飛びを見せる。両相の結晶構造解析を行ったところ、低温相では、電荷移動が生じる分子間で配位結合が形成されることが分かった。これは、BDTAのカウンターカチオンおよび配位子としての相反性を反映したもので、どちらの特性が優先されるかはBDTA上の電荷によって規定されることを示している。電荷移動相転移はこれまでもいくつかの系で見出されてきたが、このような配位結合形成を伴う現象は初めてのことである。 ナフタレン環の両側にジチアゾール環を有するNTは、NT_3[GaCl_4]なる3:1塩をつくる。室温で結晶構造解析を行ったところ、多次元的は分子ネットワークの中で顕著な電荷の不均化が見出された。さらにパルス電源を用いて電流-電圧曲線を測定したところ、著しい非線形性を見せ、大きな負性抵抗現象が出現した。室温で、このような特性が観測される有機系はきわめて特異で、しかもその閾値は、既存の物質に比べて一桁近く低かった。将来の有機エレクトロニクスへの展開に向け、きわめて有益な系を得ることができた。 その他、チアジアゾール環をもつポルフィラジン誘導体の薄膜作成についても成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Tetrakis(thiadiazole)porphyrazines. 4. Direct Template Synthesis, Structure, General Physicochemical Behavior, and Redox Properties of Al^<III>, Ga^<III>, and In^<III> Complexes.2005
Author(s)
M.P.Donzello, R.Agostinetto, S.S.Ivanova, M.Fujimori, Y.Suzuki, H.Yoshikawa, J.Shen, K.Awaga, C.Ercolani, K.M.Kadish, P.A.Stuzhin
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Journal Title
Inorg. Chem. 44
Pages: 8539-8551
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