2003 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミックスピンカップラーの複合化による多機能スピンシステムの創製
Project/Area Number |
15087204
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 建児 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80262145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 正浩 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30001986)
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Keywords | 分子磁性 / 光スイッチ / フォトクロミズム |
Research Abstract |
ジアリールエテンは熱不可逆、高い繰り返し耐久性などの特徴を持つフォトクロミック化合物である。ジアリールエテンは光異性化反応により、吸収スペクトルのみでなく様々な物理的、化学的物性が変化する。これまでに我々はジアリールエテンの開環体と閉環体とでのπ共役の結合様式の違いを利用した、ジアリールエテンの両端に配置した2つの有機ラジカル間の磁気的相互作用の光スイッチングについて報告してきた。有機ラジカルとしてニトロニルニトロキシドを、金属への配位結合サイトとして1,10-フェナントロリンを分子の両端にそれぞれ1つずつ有するジアリールエテン誘導体1aを合成した。1aとヘキサフルオロアセチルアセトナト銅とを混合し、錯体を合成した。トルエン中での紫外/可視吸収およびESRスペクトルの光応答挙動を調べた。錯体はトルエン溶液中において366nm光と578nm光によって可逆なフォトクロミズムを示した。室温、トルエン溶液におけるESR測定を行なった結果、開環体ではニトロキシドラジカルと2価の銅のシグナルが独立に存在しているシグナルが得られたのに対し、紫外光照射して得られた閉環体ではラジカルと2価の銅の相互作用を示すシグナルが得られた。このことは開環体では、交換相互作用が超微細構造定数より小さく、閉環体では交換相互作用が、g値の差より大きいことを意味する。この錯体分子ではラジカルと銅の間のスピン交換相互作用の大きさが光により160倍以上可逆に変化する事が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Higashiguchi et al.: "Photochromic Reaction of a Fused Dithienylethene : Multicolor Photochromism"Angew.Chem.Int.Ed.. 42(30). 3537 (2003)
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[Publications] S.Yamamoto et al.: "Photochromism of Diarylethenes Linked by Hydrogen-Bonds in the Single-Crystalline Phase"Chem.Eur.J.. 9(20). 4878 (2003)
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[Publications] K.Takayama et al.: "Photoswitching of Magnetic Interaction between Copper (II) Ion and Nitroxide Radical Using Photochromic Spin Coupler"Chem.Eur.J.. 9(22). 5605 (2003)
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[Publications] K.Matsuda et al.: "Very High Cyclization Quantum Yields of Diarylethene Having Two N-Methylpyridinium Ions"Chem.Lett.. 32(12). 1178 (2003)
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[Publications] K.Matsuda et al.: "Photochromism of Metal Complexes Composed of Diarylethene Ligands and Zn(II), Mn(II), and Cu(II) Hexafluoroacetylacetonates"Inorg.Chem.. 43(2). 482 (2004)