2005 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミックスピンカップラーの複合化による多機能スピンシステムの創製
Project/Area Number |
15087204
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 建児 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (80262145)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 正浩 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (30001986)
|
Keywords | フォトクロミズム / 自己組織化 / 不斉情報 |
Research Abstract |
ジアリールエテンの光反応性については数多くの研究例があるが、その電気化学的挙動についてはいくつかの例があるに過ぎなかった。最近、我々はある種のジアリールエテンが電気化学的な酸化により異性化反応することを見出し、その反応機構の検討をすすめた。 電気化学的および化学的酸化により閉環反応が進行する化合物と、電気化学的酸化により開環反応が進行する化合物があり、同時に両方の性質を持つものはないことが明らかとなった。また、開環反応は連鎖的に進行することも明らかとなった。これらの反応性の違いを明らかにする目的で、カチオンラジカル状態の開環体と閉環体のエネルギー差をDFT計算(B3LYP/6-31G*)により求めたところ、カチオンラジカル状態で、開環体の方が安定な場合は電気化学的開環反応が、閉環体の方が安定な場合には電気化学的閉環反応が進行することが明らかとなった。また、このことは以前に報告されていた分子においても成り立つことが明らかとなった。このことは、電気化学開環反応と電気化学的閉環反応が、一般的に起こり、さらにこの2つが相補的であることを示唆している。得られたエネルギーダイヤグラムにより、開環反応は連鎖的に進むことが合理的に説明できる。 酸化による開環、閉環反応は回折限界による制限を受ける光反応に比べて微小領域で反応を進行させることが出来るため、スイッチング分子を分子エレクトロニクスへ応用することを考えた場合、理想的な反応であると言える。
|