2003 Fiscal Year Annual Research Report
単一生細胞成分の経時的ナノ分析:機能分子の採取・同定・注入法の開発
Project/Area Number |
15101004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪飼 篤 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (50011713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 秀雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (80211704)
長田 俊哉 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (00201997)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 細胞手術 / mRNA採取 / 膜タンパク質採取 / 遺伝子DNA導入 / 単一細胞モニター / 単一細胞の生化学 |
Research Abstract |
個々の細胞を対象として細胞内機能分子の採取同定、膜タンパク質の採取同定、細胞内への外来機能分子導入などの操作を定量的、効率的に行う方法を開発する目的で細胞手術法の開発を行った。まず、培養生細胞を対象として細胞内に原子間力顕微鏡の探針を挿入し、一定時間後に引き抜くことにより探針先端に付着する分子の中からmRNAをRT-PCR法で増幅した後、電気泳動法によりその種類の同定を行う方法を開発した。この方法を用いて単一生細胞を生かしたままそのタンパク質発現状況を経時的にモニターする新しい方法が可能となり、細胞のいくつかの特定局所からのmRNA採取が可能となったので、例えば核からの距離に応じてその数が増減することをβアクチンのmRNAについて確証することができた。膜タンパク質の採取は、探針を細胞内に挿入せずに、軽く細胞表面に接触することにより行った。この場合は探針は共有結合架橋剤により修飾されているので、接触時間中に探針と膜タンパク質の間にアミノ基を介した結合が生じ、ついで探針と試料間距離を増すことにより膜タンパク質の部が探針に結合したまま脂質膜から引き抜かれてくることを確認した。この際に測定される引き抜きに要する力は0.45ナノニュートンと測定された。細胞手術の重要な基礎技術として細胞への穿孔法を行った。生細胞に対していろいろな先端半径を持つ原子間力顕微鏡の探針を強い力で押し付けることにより穿孔が可能であるが、あけられた穴の大きさによって細胞はこの穴を修復する場合と、穴がさらに広がって細胞が死に至る場合があることが判明し、生死の境界となる穴の大きさを測定することができたので今後の細胞手術法開発に重要な基盤を築くことができた。今後、穿孔法により生じた穴を通して医薬や遺伝子、酵素などの外来機能分子を細胞内に導入する方法を開発する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] R.Hertadi, F.Gruswitz, L.Silver, A.Koide, S.Koide, H.Arakawa, A.Ikai: "Unfolding mechanics of multiple OspA substructures investigated with single molecule force spectroscopy"J.Mol.Biol.. 333. 993-1002 (2003)
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[Publications] A.Ikai, R.Afrin, H.Sekiguchi, T.Okajima, M.T.Alam, S.Nishida: "Nano-Mechanical Methods in Biochemistry using Atomic Force Microscopy"Current Protein and Peptide Science. 4. 181-193 (2003)
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[Publications] H.Sekiguchi, T.Okajima, H.Arakawa S.Maeda, A.Takashima, A.Ikai: "Frequency shift feedback imaging in liquid for biological molecules"Applied Surface Science. 210. 61-67 (2003)
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[Publications] H.Sekiguchi, H.Arakawa, H.Taguchi, T.Ito, R.Kokawa, A.Ikai: "Specific Interaction between GroEL and Denatured Protein Measured by Compression-Free Force Spectroscopy"Biophysical Journal. 85. 484-490 (2003)
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[Publications] 猪飼 篤, 岡嶋孝治, 荒川 秀雄: "単一タンパク質分子の力学的延伸とレオロジー実験"トライボロジスト. 49. 49-55 (2003)
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[Publications] T.Okajima, H.Arakawa, M.T.Alam, H.Sekiguchi, A.Ikai: "Dynamics of a partially stretched protein molecule studied using an atomic force microscope"Biophysical Chemistry. 107. 51-61 (2004)