2004 Fiscal Year Annual Research Report
新型核スピンメーザーによる^129Xe電気双極子モーメントの超高感度探索
Project/Area Number |
15104003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉見 彰洋 理化学研究所, 応用原子核物理研究室, 研究員 (40333314)
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Keywords | 電気双極子モーメント / 標準模型 / 超対称性模型 / 低周波核スピンメーザー / 磁場の安定化 |
Research Abstract |
希ガス元素^<129>Xeの低周波核スピンメーザー装置を永久電気双極子モーメント(EDM)探索実験へ応用するための開発を継続して進展させた。EDMは時間反転対称性を破っており、その大きさは素粒子の標準模型では測定不可能なほど小さい一方、超対称性模型など標準模型を越える理論の多くは現在の実験上限値近くその1-2桁下の値を予言する。そのため本実験では、現上限値の2桁下までのEDM探索を狙う。 EDM検出のために、光ポンピング法でスピン偏極したRb原子とのスピン交換反応により得られるスピン偏極した^<129>Xe原子核のスピン歳差周波数が印可電場の作用でシフトすることを測定する。特に、当研究室で開発を行ってきた、緩和のない連続的なスピン歳差をmGレベルの磁場中で行わせることを可能にする低周波核スピンメーザーを利用して、核スピン歳差信号を長時間観測することでわずかな歳差位相のずれの検出を行うことを目指す。 本年度は一様性の高い低磁場を生成するソレノイドコイルを設計・製作し、そのコイルに供給する安定化定電流源の製作を行った。市販されている安定化電流源の安定度は10^<-4>が最高で、これによって1μGの静磁場の揺らぎが生じていた。新しく製作した電流源では基準電圧源に低ノイズバッテリを使用することで、低周波数のノイズを減少させて、10^<-6>の安定度を達成することができた。これは磁場の揺らぎに換算して10nGのオーダーである。また、これに平行して磁場を感度良くモニターする磁力計の開発を行った。磁場測定はEDM実験にとって磁場の揺らぎを感知する重要な項目である。原理はRb原子に直線偏光レーザーを照射し、そこでの偏光面の回転を検出することで、磁場の大きさを測定するものである。外部共振器レーザーの周波数安定化システム、光学偏光面の回転を感度良く検出する装置の構築を行った。現在10μGのオーダーでの測定ができているが、試料の容器作成手法の改良を行うことで大幅な改善を行う予定である。
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Research Products
(6 results)